【一日一作プロジェクト】「感咲(かんざき)」 を作った。朝8時半。ゴミを捨てに行ったら桜が満開。
「朝からお花見」
優雅〜。なんてすてきな1日の始まり。花を見上げながら朝の散歩。青空にすくっと伸びる腕。ポンポンのような花玉。大きくたくましく、妖艶ではかなげで。こんなに咲き乱れている花たちが
「わずか2週間で散ってしまう」
そのはかなさよ。こんなにはっきり「咲く時期」が決まっている花も珍しい。今か今かと開花を待たれ、多くの人に愛でられ、散るのを惜しまれ、感謝と共に来年の再会を待たれる花。桜。
「ただいま〜」「遅かったねぇ。もうすぐ建具屋さんがみえるよ」
あっ。ついつい桜に心を奪われ、遅くなってしまった。本日は建具屋さんが、朝9時からみえる。以前はふすまだった場所を
「光の通る半透明のアクリル板に」
さらに。足元のレールを凸凹のない新しいものに。つまずかないように。とにかく全てが古いので、ふすまも障子も「さっ」と一発では開かない。「ぐぐっ」と常に手に抵抗がかかり「がたがた」と音がする。
「すっと開く」「無音」「軽い」「床に凹凸がない」「光がふんだんに入る」
私の条件を満たすべく、職人さんが「うちにあった障子枠を活かして」新しい戸に作り変えてくれた。そう、手作り!きゃ〜。職人のSさんは75歳。小柄ながら力持ち。次々と素材が運び込まれる。
「戸をどこかに立てかけて置きたいだけど」「あぁ、そこの絵がかかっている壁に立てかけてください」
広い壁はそこしかなく、大きなキャンバス地に描かれた私の絵が、どーんと貼り付けられている。Sさんは戸を手にしたまま
「ええっ、絵の上に⁉︎仕事で描いてるんですよね?」「そうだけど。まぁ、ちょっとくらい削れても、後からちゃちゃっとペイントしますから」「ええーーーっ!いやいやいや」
とんでもない、と廊下の隅へ運ばれて行った(笑)。職人気質のSさんは、本当にきれいな仕事をされる。どこもぴしっと揃っていて、気持ちいいー。心が洗われる〜。
「あれ、ここが合わんなぁ。どうして隙間が」「あっ、そこ。家そのものが歪んでいるので襖や障子がぴったり合わないんです。長方形でなく菱形というか」
「隙間が気持ち悪いと思いますが、どうぞお気になさらないで。私が後でなんとかします」「なんとか⁉︎って???」
いやぁ、ぴしっと直すのでなく、アート系の直し方で〜(笑)。そのうち、ひらめきが降りてくるさ。凹凸のないレールが敷かれ、いよいよ最終段階。
「シュッ」「しゅしゅっ」
カンナで木枠を削ると、ぱっと香りが広がる。木の匂いが部屋中に立ち昇る。この微調整のおかげで「無音」「すっと開く戸」になるのだ〜。
「うーん、下がすくもんで〜」
職人さんのひとりごとが好き(笑)。毎日でも見ていたい。「家の修繕」のおかげで、いろいろな職人さん達に出会い、手作業を眺め、相談し、話を聞くことができ、何よりプロセスを分かち合うことができた。
「新世界が開かれていく2ヶ月、幸せだったなぁ」
何事も、現場で、ライブで学ぶ。「人間と道具」それだけで、こんなにたくさんのことができる!なんてすばらしい〜。そこで、ふと気づく。これまでずっと1人で制作してきた。何事も自分で解決。
でも、自分の知らないことを知っている職人さん達と毎日接していると、新しい世界がすぐそこに広がっているのを感じる。もっとできることがある。まだ私が知らないだけで。その手応え
「とてつもない可能性」
をぞくぞくと感じている。すばらしき人間力。挑みたいという強い衝動。私は熱狂的エネルギー、センス、遊び心はあるけれど、知識や技術がない。
「こんな方々と一緒にアートの制作ができたらいいだろうなぁ!」
1人勝手に妄想。「確かな知識と技術」+「熱狂クレイジー」って、最強やん(笑)。まぁ、問題はお金だけど。ピアノの弾きたい職人さん、家の壁に絵を描いてほしい職人さん、いないかなぁ。
作業も無事終了。明るく使い勝手のいい仕切り戸が完成。ひと休みしに庭へ。父が、自作のネギやニンジンの芽をチェック。これが日に日に大きくなるのだ〜。春って、すごい。畑のあちこちにドクダミの葉っぱが顔を出す(写真)。
「感咲(かんざき)」
「感」「CORAZÓN(心)」文字が踊る。人間の可能性に、たくさん感動した2ヶ月だった。それも家から出ずに(笑)。どこにいても、感動はある。どんどん感動して、新しい自分を咲かせよう。
みなさま、すてきな1日を。