TRES

【一日一作プロジェクト】「TRES(トレス)」を作った(スペイン語で「3」の意)。先日バスを待っていると、頭上から賑やかな鳥たちの声が。見上げると、バス停のある大通りに

「鳥の巣が!」

それも、丸見え。そんな目立つところに。大丈夫?外敵に狙われないかなぁ。ちょっと心配。でも、本人たちは大満足の様子で

「大騒ぎしながら巣作りに夢中」

緑のかわいらしい野生のインコ(写真)。がんばれ〜。そこで、ふと思う。

「好きな場所に家を持て、自力で巣を作れる」「全ての可能性を自分の中に持っている」

鳥たちって、すごいな。厳しい条件の中、まさに体一貫で生き抜く。動物たちこそサバイバルの先輩。あの小さな体の中に、爆発的な生命力が宿っている。それではたと思い出す。

「成せばなる。成さねばならぬ、何事も」

のフレーズを、小学1年生の私に叩き込んでくれた祖母。とくばあちゃんは岐阜県の山奥に、1人で住んでいた(当時は新聞や手紙も届けられず、歩いて不思議な小屋まで取りに行った)。

「畑を作り、ニワトリと暮らし、わらびを取り、キノコを取りに山へ登り」

半自給自足の生活をしていた。裏山で取った植物を市場に売りに行き(片道40分歩いて)、もちろん車もスマホもなく

「丸い木製の薪風呂」

は、バランスよく真ん中に立たないと、足元の板がひっくり返るスリル満点のシステム。小学生の私の体重では床板が浮き上がり、恐ろしかった。

高校生の頃には、現代風の風呂にリフォームされたものの、火元は変わらず「薪」だったので「追い焚き」は手動。湯船の中から

「おばあちゃん、熱くして!」「待っとれよ〜」

と、薪を燃やしてもらっていた(笑)。年に1、2度、愛知県の私たちの家まで電車で遊びに来てくれたけれど、数日すると

「何にもやることがないでつまらん。畑をやりに帰る」

と意気揚々と引き上げて行った。その後ろ姿を、駅で見送る母が少し寂しそうに

「おばあちゃんって、振り向かないよね」

と呟いていたのを思い出す。別れの挨拶がすむや、きりりと前を見て、さっさと歩いて行ってしまう祖母。きっとその先には、愛してやまない

「畑とダンス、工夫して楽しむ暮らし」

が待っていたのだ。シンプルで質素で、自分らしい暮らしを貫いた祖母。101歳で亡くなるまで、家族親戚の誰より海外旅行をした人でもあった(もちろん私よりも)。

「朝は畑に、夜は踊りに!」

踊りだって、夜道を40分かけて歩いて行く。小さい頃よく祖母の家に預けられた私は、何度も踊りの会について行った。帰りの夜道は本当に怖かった。都会とは「闇の深さ」が違う。

「竹藪がざわざわ」

風に揺れるたび、飛び上がりそうになった。でも、祖母は平然と「この時期、猪は出ないから安心しろ」などと言う。そんなたくましい祖母の血が、私の中にも流れているのだと思うとうれしくなる。

パートナーであるベラを亡くし、同じ年に母、翌年に敦美お姉さん、昨年とくばあちゃんを亡くし、息ができなくなるような絶望感や寂しさを何度も経験した。今は

「もう教えることは全部教えた。あとは自分で生きて行きなさい」

と、背中を押されているのを感じる。人はみんな、役割を終えて還って行く。命のバトン。今日を大切に。どうぞすてきな一日を!

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