【一日一作プロジェクト】「空(くう)を裂くピアノ」を作った。「アンダルシアの日」にちなんで開催された「フラメンコショー&ランチ」。隣町まで電車で駆けつける。
「ワクチンパスポートが廃止され、室内で飲食できるようになった」
から、行ける(笑)。あぁあ、よかった〜。じゃなきゃ、予約はしても中に入れてもらえなかった。実は、セビジャーナスやフラメンコを習っている日本人のC先輩が
「ベルディアーレスを踊るのよ」「ええっ、すごい〜」「いやぁ、前座よ」
などという会話が1ヶ月前。わくわくして乗り込むと、なんと。私たちのテーブルは
「ステージから1番近く」
きゃ〜。うれしいー。ビールを飲んでくつろいでいると、これまた日本人の先輩Rさんが姿を現した。
「お久しぶり」「うわぁ、何年ぶりでしょう」
思いがけず、近況報告に花が咲く。実はR先輩、オカメインコと暮らしている。3歳になるモモちゃん(同じ名前や〜)の写真や、クリスマスソングを歌う仰天動画を見せてもらっていると
「ジャンジャカジャジャジャ〜」
あの躍動感あふれるベルディアーレスの音楽が流れてきた。それに合わせて、かわいらしい衣装に身を包んだ御一行様が登場。
「色とりどりのリボンとカスタネットを手に」
ステージへ躍り出る。マラガの民族舞踊であるベルディアーレスは、今も山岳地方の村々で演奏され、踊り続けられている文化遺産。私も2年前に習ったことがあるけれど
「スピードがものすごい」
ので、とにかくノンストップ。キレッキレの状態で踊り抜く。踊りながら、同時にカスタネットを鳴らす。って、とても大変なのだ(←ちゃんと鳴らし方も決まっている)。
「これぞ、アンダルシアの日にふさわしい」
華やかさと楽しさ。私も踊りたくなってきた〜。C先輩は見事に踊り切り、拍手喝采の中ステージを降りた。その後、着替えてランチを一緒に。
「メガネじゃないと、別人ですね」「それがメガネはダメって言われてねぇ」
「目元がすてきですよ」「ツケまつげしてるから」
いつもは、サバサバ系女子のC先輩。が、今日はとにかく妖艶なのにびっくり。そうか、私もメガネを取ってツケまつげをしたら
「妖艶に・・・いや、一体どうしたの⁉︎」
って言われそう(笑)。さて。ランチはコースメニュー。生ハム、チーズ、茹でエビ、コロッケ、豚肉&ポテト・・・どれもおいし〜。
「さぁ、ワインで乾杯しましょう」
C先輩が赤ワインのボトルを注文してくださる(ごちそうさまです)。旦那さまのPさんにも久しぶりに会えて、おしゃべりできてよかった。元気な姿を見られるのが何よりうれしい。
食べて飲んで、おしゃべりして。あっという間の2時間。デザートが運ばれてくると、会場にアナウンスが流れる。
「これからフラメンコのショーが始まります」
舞台にさっと照明が当たる。独特の緊張感が、カーテン越しに伝わってくる。人の気配。始まる前の、あの息を殺すような瞬間。音楽屋だった頃を、ふと思い出す。
「空を裂くピアノ(くうをさくピアノ)」
音楽やダンスには、空気を切り裂く瞬間がある。緩急の世界。包み込むのと同じくらい、平手打ちを喰らわすのも大切だ。イスをステージに向け、深く座り直す。
その時、私たちはまだ知らなかった。観客を熱狂させるフラメンコショー。なんとそれから夜の7時まで続くことを(明日に続く)。