本の日に「夢語」

【一日一作プロジェクト】今日4/23はサン・ジョルディ「本の日」。真っ白なページから植物や命、夢や希望が舞い上がる「夢語(ゆめがたり)」を作った。

「うわぁ、ガス缶を買わなくちゃ!」

朝10時。いきなりガスがないことに気づく。スペインは「自力でガス缶を買う」システムなので、週に一度

「ガス缶を肩に担いで、玄関まで届けてくれる屈強なお兄さん」

達が、ガス缶を積んだトラックに乗ってやって来る。これまでいつも朝の11〜12時頃だったので、余裕を持って朝10時に連絡をすると・・・

「あー今日はもう、そこの地区は回り終えちゃいました」「えええっ」

そんなに早く???しばし言葉を失う。今日買えなければ、次は1週間後なのだ。「そこを何とか」と必死でお願いする。

「じゃ、最後に寄ります。2時頃かな」「よ、よ、よろしくお願いします!」

玄関にお金を用意し、待つこと4時間。筋肉隆々のお兄さんが、マスク姿で現れた。

「ムーチャス・グラシアス!本当に助かります」「いいよ〜、ガスないと困るよね」

マスクはしていたけど、お兄さんの瞳と口調で、笑顔なのがわかった。

「以前はこうして、笑顔で挨拶をして暮らしていたのに」

まるで、そのことが「はるか昔」「以前の生活」のように思えてくる。そのガス缶でさえ、玄関で消毒しなくてはならない。

そんな中、心を洗われるニュースが届いた。いつもなら日光浴や海水浴をする人々でにぎわうマラガの海岸線に

「フラミンゴの家族が舞い降りた」

のだ。まるで、夢のような光景だった。浜辺の波打ち際でくつろぐフラミンゴの姿は、神々しくさえあった。あまりの美しさに息を飲み、そして気づいた。

「海岸線を人間だけが独り占めしていた」

ことに。声を持たない生き物や植物を追いやって。まるで全ての権利を、人間が持っているかのように。

外出禁止令も2ヶ月目に入り、散歩も許されない厳しい封鎖システムの中で、私自身が日に日に変わりつつある。

「もうなくてもいい」

と、思う。ほとんどの物が。私の心を占めていた沢山の物や事が、この1ヶ月でするりと出て行った。コロナが収束しても、元の私には戻らないだろう。

スペインのコロナウィルス感染者は213000人に。5000人増。一日で440人の方々が亡くなった。突然、閉じられた人生。こんな悲しい春を誰が想像したことか。

真っ白なページから、植物や命、夢や希望が舞い上がる「夢語」。いつかこんな絵本を、物語を作ってみたい。祈りを形に。

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