ツバメが連れてきた春

【一日一作プロジェクト】時計の針は数字の代わりに、夢玉や音玉、花や植物をめぐる。「春めぐり」。ランチにチキンを焼いていたら、朝食の残りのミルクティが目に入った。

「このミルクティをチキンかけたらどうなるか」

思いついた時が、やる時。なので、どばっとフライパンに注ぎ込む。だって、ミルクティに入っているのは

「生の生姜、丁字、粒ペッパー、シナモン、はちみつ、ミルク、そしてお茶」

つまり、問題は「お茶」だけなのだ。

「無視しよう」

お茶は、なかったことにすればいい。チキンの横に、茹で野菜を投入。自分でも何を作っているのかわからない。が、その時ふいに

「ここにココナッツオイルを入れたら香りがよくなるのでは」

と、思いついたままに加えてみる。はて。何ができるのか。まるでわからないままテーブルへ。なにしろこれ一品だけなので、どんな結果になっても、本日のランチなのだ。

「うそ・・・めちゃおいしいじゃん」

言ってみればカレーに近い。コクがあって、香りもよくて。この間、ちゃんと目的を持って作った「トンカツ」より、ずっとおいしい。なんてこった。

ここのところ、ピアノを弾き始めている。3年以上ほったらかしておいたので、まるで指が動かない。でも

「弾きたい曲を、自分や友達のために」

なので、どんな指だってかまわない。調律されていないピアノでも。今の気持ちを、動画にして送ってみよう。

「元気を出して!の代わりに」

試しで送ってみたら、またたくまにマドリッドやバレンシア、フランスにまで再送信されて、あちこちからお礼のメッセージが届いた。

「次のピアノを楽しみにしています」

これは、始まりだったのか(笑)。外出禁止令になっても、ルーティンはあまり変わらない。毎朝10時に制作を始め、作業終了が夜8時。

テラスエールをして、夕食をし、ブログを書き終わるともう夜10時過ぎ。それから自由時間だけど、もう映画を見る力はなく爆睡。

スペインのコロナウィルス感染者は219000人に。一日で6000人増。まるで先が見えない。そんな中、ツバメ達がうちの窓に巣を作り始めた。

「ツバメが春を連れて来てくれた!私の窓辺に」

春を届けてくれたのだ。外に出られない私達のために。だから「春めぐり」を作った。ありがとうの代わりに。思いを、祈りを形に。

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