21.フィンランドで極寒の搭乗

いよいよ日本を出発。名古屋セントリア空港で、ニッポン最後の食事をいただく。迷いに迷った結果、食べおさめはこちら!「カレーきしめん&味噌カツ」。どやっ。しばし感動。これでまた半年、日本食とはおさらばなのだ(涙)。なごや飯でしめ!

さて、今回の旅は「フィンエアー」を利用。まず名古屋からフィンランドのヘルシンキへ。約九時間の旅。スーツケースを転がしながら、搭乗手続きカウンターへ向かう。と・・・
「本日の便はオーバーブッキングです」
との看板が。

「え、え、ええーっ、乗れないかも?」
こんなこと初めてなので動揺。すっかりおびえてしまったが、無事、席を獲得。それにしても気になるのは、オーバーブッキングに続く説明文。
「他社への乗り換えを、ご協力金300ユーロ~で募っております」

おぉお。若者ならいいかも。あるいは時間に余裕のある方なら。私はどうしてもこれに乗らないと、マラガへ乗り継げないし、着いた翌々日からすぐ仕事始めだったので、最後まで闘う覚悟、ではあった。

さて、ニッポンへ来る便では「発熱&寝不足&絶食」で、ただただシートにうずくまっていたのだが、その分を挽回すべく、今回は食前酒からビール、赤ワインまでフルコース。食事も満喫。映画も五本。順調にヘルシンキへ到着。

ここでマラガへ行く便に乗り継ぐのだが、さすがフィンランド。空港の窓の外には、真っ白な雪景色がどこまでも広がっている。
「おおー、きれいー、幻想的ー!」
そう、見ている分には。だって誰がこの後、自分たちがこの景色の中に、放り出されると思うでしょう。

私たち搭乗客は、全員バスに押し込められ、飛行機へと近づいていった。真っ白な雪景色の中を、黙々とバスは走る。そのとき誰もが
「あのビヨーンと伸びた廊下を渡って、飛行機に入るんだよね」
と、思っていた。だから、飛行機を目の前にして、いきなりバスのドアが開き、雪の上に下ろされた時
「えっ、何かあったの?」
と、思った。はずだ。

空港ゲートから、外へ出ずにそのまま機内に入ると思っていたので、私は手袋もマフラーもコートもしまってしまっていた。薄着で雪の上に立つ。上客の列は遅々としてなかなか進まない。永遠のような十五分。

これはもう「乗客」でなく、「強制労働者」の列であろう。やっと飛行機が近づいてきた。鼻水が凍りそう。タラップへ足をかける。と、なんと!そこにまで雪が。こんな搭乗あり?

一年中、太陽に恵まれたマラガで暮らし、雪はもちろん、大雨や嵐も少ないマラガ空港に慣れていると、考えられない搭乗なのであった。が、誰も騒がないところを見ると、フィンランドではふつうなのかも。あるいはペンギン族フィンランド人には、このくらい寒さのうちに入らないのかも。

極寒の搭乗に、度胆を抜かれつつマラガへ到着。空港の外へ出ると、夜の十時で温度はまだ十二度。この空気。匂い。抱きしめられているような気がする。マラガに帰ってきたと思う瞬間。
「ああー、これぞマラガ。オーレ!」

ニッポンとマラガと、私には二つのふる里が、ある。それぞれなくてはならない場所。私を生み、育ててくれたニッポン。そして私を解きはなし、生きることを教えてくれたマラガ。この二つのふる里に、そろそろ恩返しができないかと、思っている。

「ニッポンへとへと記・」完
明日からは、通常のブログに戻ります。新しいスペイン情報も満載。どうぞお楽しみに!

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