金歯はいくらか・2

べラはさっそく、身分証明書を持って
「金歯」を売りに、出かけて行った。
そして一時間後・・・

「売れたよー!金歯」
「ほんと?いくら?」
「40ユーロ!」
「おおーっ、すごい」
頭の中で、「これで今週の『ガス缶』が買えるな」、と判断する。

「じゃ、40ユーロ、ちょうだい」
「・・・・・・・・」
べラの表情が一瞬、固くなる。
ポケットに手を突っ込むが、お金はなかなか現れない。
「どうしたの?」
「あのね、帰り道に15ユーロ、使っちゃいました」
「はあぁっ」
まるで、お買い物を小学生に頼んだ母親のようである。

「何に使ったのっ」
「いろいろ」
「って?」
べラはビニル袋から、赤ワインやおやつを取り出すと
そっとテーブルの上に並べた。
すべて食料、というところが、なんだかなぁ。
小学生の買い食いみたい。

「はい、残りの25ユーロは、ももが使っていいよ」
手渡された25ユーロを眺めながら
「僕の体の一部が、お金になったんだー!」
と喜ぶべラの声を、聞いていた。

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