小説を自力でプリントできるのか

「マイクロソフトワード」なるものをパソコンに入れてもらい、
さらに文字数、行間、書体などを設定してもらい、
「小説応募」に向かって、ふたたび書き出した。
とにかく、楽になりたければ「書き終えて応募」しかないので
必死で操作をおぼえる。

やっと書き終え、プリント。
これも、やり方をAさんに教えてもらった。
「ガガーッ、ガガーッ」
もらいものプリンターは、好調に働いている。よしよし。
ほっと胸をなでおろし、マテ茶など飲んでいると突然
「ガクッ」
という、恐ろしい音とともに、プリンターが止まった。
「ど、ど、どうしたのじゃーっ」
だいたいパソコンの知識もないうえに、すべての表示はスペイン語なので
日本語に訳すたび、意味不明。
それでも、インクがないのでこれ以上印刷できないことはわかった。
「問題は、どう交換するかですな」
口調まで変わってしまい、うーむとパソコンの前で腕を組む。
これ以上、Aさんに迷惑をかけることもできず
「自力でインク交換」を試みる。

「でも、壊しちゃったらどうしよう・・・・」
ここまで来て、プリンターに何かあったら、と思うと
勢いよく、空のインクを取り出すこともできない。
「こわいよー」
しかし、やるしかない。心で無事を祈りながら、力を入れてインクをひっぱり出す。
「カチッ」
息を殺すとは、このことだ。ああ、胸が苦しい。
すると、お姫様のように奥の間に鎮座していたインクは、ぽろりととれてくれた。
「ああ~、とれました。ありがとうございます」
ぺこぺこと頭を下げながら、プリンター教の信者のよう。

なんとか、新しいインクをはめこみ、再スタート。
「ガガーッ、ガガーッ」
ああ、なんだかとても、ありがたい音に聴こえてくる。
「ガガーッ、ガガーッ」
そのときドアが開き、ベラがのんびりと現れた。
「あ、僕のクライスラーの楽譜もコピーしていい?」
意味もなく、はらだたしい。インク交換も手伝わずに何だって?
「もも、いつになったら、凧をあげにいくの?今年の新曲作りは?
ねぇ、いつになったら暇になるの?」
口を開く時間すら惜しい。
とにかく「応募して」、早く楽になろう、と思った。

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です