マラガの修行僧ライブ

先日、マラガのセントロ(中心街)で、演奏する仕事があった。
マラガ人のおおらかさ、というのか、いい加減さと言うのか
「演奏開始、PM9時半ですから」
と、言われていたのに
「広告、開始は8時半になってたよ」
と友人が教えてくれる。
まさか、と思いお店に電話して聞いてみると
「ああ~、そうでしたっけ。でも、問題ありません。
あいだをとって、9時開始にしましょう!」
「・・・・・・・・」
これだから、スペイン人にストレスはないのだ。
この日、4時半から7時半まで、ピアノ教室をしていた私は
レッスンが終わったとたん、息を着く暇もなく家を出ねばならず
「ライブ用の化粧&衣装」で、ピアノ教室にのぞんでいた。

「おおー、華やか!」
「わぁ、写真撮っていい?」
「かわいい、これどうやって作ったの」
小学生の女の子たちには、頭飾りのポンポンが人気であった。
いじくりまわされて、ライブ会場に着いた時には、半分ぼろぼろ。

さて、なんとか9時にライブの開始。
弾き始めて、最初の15分はよかったが、さすがマラガ。
楽器の音量が上がるにつれ、おしゃべりの声も大きくなる。
「もうちょっと、音上げて」お店の指示で、ボリュームを上げるが、
見事にシンクロしてお客さんの声量も、上がる。これをくりかえすこと、4回。
「あの、もうMAXなんですけど・・・」

60人のスペイン人&友人が、腹式呼吸でビール片手にしゃべっている。
いや、叫んでいる。
この真ん中で弾く、というのは、修行に近い。
「何事があっても、弾き続ける!」
これは、集中力を培うための特訓以外の何ものでもない。
ミュージシャンというより、修行僧である。

演奏後、ベラがぽつり。
「日本では、みなさんどうぞおしゃべりしてください、と言っても
舞台に集中して聴いている。いったいこの習慣、メンタりティのちがいは何だ!」
すっかり疲れてしまい、
「お水ください」
と、頼んだら
「ありません、ビールでいいですか」

お国ちがえば、これだけちがう。壮絶ライブであった。

 

 

 

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