張り紙コマンド部隊(3)

スペイン、それも下町に行くほど「張り紙広告」は
市民の大切な情報掲示板。我らがエル・パロもまたしかり。
「ピアノ&バイオリンレッスンします!」広告を貼りに
夕方になると、ベラは自転車で出かけて行く。

これも、スペインに大不況の波が押し寄せ
25%を越える失業率が、ふつうになってしまったせい。
我らがアンダルシア地方は、スペインでもワースト一位、二位を競っている。

さて、演奏をする場所が、いきなり半分以下になってしまったマラガ。
私たちの知り合いのミュージシャンの多くも、私たちと同様
転職、副業探しに、毎日かけずり回っている。
先日会ったCさんは、以前は確かギターリストだったのに
聞いたら、サクソフォン二ストになっていた。
「どうして、また・・・・・」
「レストランが、サクソフォンなら仕事がある、って言うんで」
パソコンを見て特訓した、と笑っていた。

「じゃ、僕、行ってきまーす」
夕方になると、一人自転車で出かけて行くベラ。
そう、わたしたちは「張り紙コマンド部隊」。
何でも自分たちでやらなくてはならないミュージシャン生活。
とりあえず私が制作部で、ベラが営業ですかね。

「ただいまー、おつかれさまでした!」
いつも汗びっしょりで帰ってくるベラ。
最近、挨拶とねぎらいがいっしょになっている。
「今日、いつも行くコロンビア人の八百屋さんで、オレンジもらいました」
「モロッコ人のお兄さん、来月モロッコに家族に会いに行くんだって」
「ロシア人のおばさんが、幸せはお金じゃない、って言ってたよ」
と、最近、ご近所の挨拶回り、みたいになってきた。
「それで生徒さん、来たの?がんばってね」
「ガラスの掃除の人が取っっちゃったから、貼りなおしていいよ」
「こっちの方が、見えやすいから、ほらこっち」
などと励まされて帰ってくる。

先日、カフェテリアの入口で
「張り紙、貼ってもいいですか?」
と、尋ねたら、お客さんが多くて聴こえなかったのだろう。
「ミルク入り?なし?」
と聞かれ、あわてて逃げてきたらしい。

この「張り紙コマンド部隊」のおかげで、この2ヶ月で生徒さんが6人増えた。これは、すごいことである。

今のところ部隊は、ベラ一人だが、募集しているそうです。
いっしょに自転車で、お散歩してくれる人。
よかったら、ご連絡ください。

 

 

 

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