僕は、紅葉しています。

マラガにもようやく、冬がやってきた。
最高18度、最低12度。
これでも、コスタ・デル・ソル(太陽海岸)に住んでいるわたしたちには、かなり寒い。
太陽が出てない日なんてみんな、ぐだーっと一気にボルテージが下がる。
「さむい、さむい・・・」
灰色の空を見上げて、べラが日本語で言う。
日本では最高10度、最低2度とかいう真冬日にも耐えていたのに、なんというざま。
「ストーブを出しましょう!」

朝から、せっせと冬支度。すると突然、べラが不思議なことを言った。
「僕は、紅葉しています!」
「・・・・・・・・」
こういうことには慣れているので、驚くこともなく、わたしは訂正した。
「僕じゃないよね、紅葉しているのは」
すると今度は、わざわざストーブを用意する手をとめて、力強くくりかえした。
「僕は、紅葉していますっ!」

しかたないので、なぜ、そういうことになるのか聞いてみる。
「日本の木々は、紅葉をして、その後葉っぱを落として、冬支度をするんだよ!
僕も今、紅葉していますっ」

紅葉を、「冬支度」と解釈すればいいのだろうが・・・・
「うーん、ま・・・気持ちはわかるけどねぇ」
直そうと思ったが、めんどくさいのと、なんとなく詩情を感じる文章だったので
そのまま、ほかっておくことにした。

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