命伝

【一日一作プロジェクト】「命伝(いのちでん)」を作った。10/25は「Día Internacional del de Artista(国際アーティストデー)」。私自身、アーティストとして大きなターニングポイントとなったのが

「2020年3月に始まったロックダウン」

だった。日本と異なり、スペインは厳しい「外出禁止令」が出され、家から一歩も出られなかった。唯一外出できるのは、生活必需品を買いに行く時だけ。それも

「最寄りの店」

でなくてはならず、1時間以内。パトロールする警察官が「遠い」と判断すれば、罰金。それ以外の私的外出は一切禁止。通りには検問が敷かれ、パトカーが市民を監視していた。

「散歩に出ることさえ許されず」

人間性を剥奪され、人の姿を見ることもなく、通りから人の声が消え、車が消え、まるで映画のワンシーンのように、町中がしーーーーんとしていた。

最初は1週間だろうと思っていた。それが2週間、3週間になり、やがて1ヶ月となり、ついに2ヶ月目にさしかかろうとした4月1日、私は決めた。

「ロックダウンダウンが終わるまで、一日一作しよう」

あの日の決意を、私は忘れない。悲しみと絶望と孤独と不安の中で「アーティストとは何か」「自分の役割は何か」「自分が生かされている意味」を、ひたすら問うていた。

「命を大切にする社会、選択の自由がある社会を祈って、アートでエールを送り続ける!」

あの時の、真摯な気持ちが「一日一作」プロジェクトの出発点。それは今でも変わっていない。ロックダウンが進む中

「1日1時間だけ、散歩が許可された」

あの日。私たちは2ヶ月半ぶりに、よろよろと不安げに外に出た。まるで刑務所か収容所から出るように。大地を踏みしめ、久しぶりに人間の姿を目にし、太陽の日差しを全身に受けて。ロックダウンが始まったのは冬だったけれど

「外に出たら春だった」

あの時の衝撃は、忘れられない。季節が変わっていたのだ。散歩が許可されたとはいえ「夕方6時から7時まで」と一方的に時間が決められ、それも「家から1キロ以内」という制限付き。それでも、ついこの間まで

「道端の花を見るために自由に立ち止まる」

ことさえ許されなかったのだ。わずかに与えられたほどこしの自由さえ、愛おしかった。市をまたいで移動することは許されず、町のあちこちに検問が敷かれ、移動用の証明書が必要だった。

あの狂気。人間性の剥奪。「非常事態条項」の恐ろしさ。日本は非常事態宣言なので、ここまで強制できない(←だから非常事態条項を許してはならない)。あの経験が、私を根底から変えた。1人の人間、1人のアーティストとして。

「命を大切にする社会の実現のために」「メッセージを伝えること、真実を見極め、声を上げ続けること」

それが、今の自分の役割だと思っている。私たちは、1人1人が「記憶の、叡智の船」だ。命をかけて、後世に伝えていくものがある。

「命伝(いのちでん)」

日本でもらったジャバラの帳面(折本)にペイント。「選択の自由」「命を大切にする世界を」という文字が踊り、飛びはね、ひとつに結ばれる(アルファベット&漢字)。ももアートは

「遊び心でできている」

置かれた環境、気分とは関係なく。絶望や孤独の中でも、遊びながら異を結ぶ「遊異結(ゆいむすび)」アーティストとして、命ある限りエールを送り続けたい。

「人間でいよう!(笑)」

2023年は、久しぶりに日本で展示会をしてみたい。3年ぶり?4年?みなさま、ぜひ一緒にアートで遊びましょう。

たとえどんな世界が待っていようとも。遊び心を大切に。笑って、手を取り合って、免疫力を上げ、一緒に歩いて行きましょう!

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