セマナサンタ連続食事会

この三月末、スペインは一週間に渡り「セマナサンタ(聖週間)」であった。で、当然というのか、レッスンには誰も来ない。ので自動的に私も大連休。

さっそく、これまで約束をしておきながら具体化できなかった
「食事会」
を、毎日連続でこなすことに。

なにも連日。とは思うが、これもすべて二月に起こった「盗難事件」で、三月中旬まで食事会どころではなかったせい。

さて、まず「セマナサンタ連続食事会」の初日は
「ハビ吉・ダビー・アウローラの三人をうちに招待する」
ところからスタート。

盗難事件では、とてもお世話になったので「そのお礼」という位置づけ。本当は外で食べるはずが
「全然、家に呼んでもらえないよね、僕たち」
「何か資格でもいるの?家に入るのに」
などとチクリと言われ、急きょうちで手作りランチに。

「ああー、やっと呼んでもらえた」
「ここまで来るのに半年か」
「・・・・・」

だって。いつも会う時って、先に時間や場所がもう決まってるじゃん。私はほとんど決定権なく参加するばかり。というか、連れ回されてる、に近いと思う。

ま、白ワインのボトルなど開けまして、のんびりランチがスタート。この日は風が強くてテラスランチが無理だったので、アトリエ(作業場)のテーブルが会場に早変わり。

二時間ほど、ゆったりおしゃべりしながらランチ。その後、デザート&お茶を出そうとしたら
「海岸通りへ行って飲もうよ!」
と外に引きずり出される。ね、だから。決定権はないんだって。全部ハビ吉が決めるんだから。

写真を撮っていると、二人がからんできた。
「これが、新品のアイフォーン?」
「そう。ピカピカでしょ。アイフォーン7なんだって」
「僕が6だってのに。ももが7?信じられないよ」
ハビ吉が天を仰ぐ。

「で、使いこなせてるの?」
「うーん。私はハビ吉のお古のアイフォーン5で、一生よかったんだけど」
「一生って、こういうものは消耗品だよ」

でもさ。私は少し口調を和らげて言った。
「もらったってことが、うれしいんじゃん。買うことは誰でもできる。お金さえあればね。手にするたびに、これはハビ吉がくれたんだなぁって、それがうれしかったんだよ」
「・・・・・・」

その瞬間、みんな黙った。すさまじい海の風が、私の声を瞬時にかき消し、かっさらっていく。
「温かいコーヒーでも飲もう!」
「あそこにいい店があるよ」

私たちはいつものように海岸通りで写真を撮り、風の中をひたすら歩いた。二人の間で、弟たちの間で、しっかりと腕や肩をつかまれながら。二十年前とまったく同じように。





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