8.マラガで予想外の食事会

昨日の続き。マドリッドを出発し、マラガへ向かってひたすら南下。500キロ、5時間。なかなかの行程である。渋滞にも巻き込まれず、無事マラガへ到着。これが夕方の七時。

「お疲れさま。どうもありがとう!それじゃあね」
と肩を抱いて挨拶し、そのまま自宅に帰るはずであった。が、そうはならなかった。それは到着したハビー宅で、ダビーとエンリケが待ちかまえていたからである。

「これからサン・ファンのお祭りに出かけよう!」
「これから?私はやめとく。みんなで楽しんで来て」
一人バス停に向かって歩き出そうとした、その時であった。

「もも、待って。バス停まで車で送って行ってあげる」
これが、罠だと気づくのは、もちろんもっとずっと後のこと。

「あれ、こっちじゃないよ。バス停」
「そう?」
「ちょっと、正反対だって。どこに行くの!」
「トリモリーノス」
「はぁあっ?」
「もう止められないよ。アウトビアに乗っちゃったもん」
「信じられない・・・」
(写真二枚目)

結局、その後フェリペと合流。友人五人で夕食をすることになった。まるで予想外。予定外。ぶつぶつ言っていると
「いいじゃん、明日は休みなんだから」
「そうだけど。オウムだって待ってるんだから」
「もう寝てるって」
「・・・・・・」

みんなは、うちのオウムの習性を知らないのだ。夜何時であろうと、電気がついてドアが開くや
「ギャー!ぐえっ、ぷー、ぎえっ」
と、大騒ぎし、鳥かごから出られるまで、電気を消しても鳴き続ける。

だいたい日本からマラガへ帰るたび、夜中の一時であろうと、長旅で疲れていようと、まず最初にしなくてはならないのは
「オウムを鳥かごから出す」
ことなのだ。もちろん出せばいいってもんじゃなく、その後、話しかけながらアテンドするわけで・・・

「サン・ファンに乾杯!」
「サルー!」
ハム、チーズ、ポーラ、肉団子、サラダ・・・次々と運ばれて来る料理に舌鼓。あぁあ、おいしい。そういえばお昼も移動中で、パイを食べただけだった。急に幸福感でいっぱいになる。

飲んで、食べて、おしゃべりして。気が付いたらもう夜の十一時。
「ちょっと、もう帰らないと!」
「これからデザートだよ」

で、行ったアイス屋さんがこちら(六~七枚目)。よく食べるなー。なにしろみんな年下。弟たちなので、見守るしかなかろう。

「もう家に送ってくれるでしょ」
「だめ。これからメインのサン・ファン祭り。海に足だけでも入れないと意味ないじゃん!」
「・・・・・・・」

結局、家に着いたのは夜中の三時近く。さすがのオウムも、寝ていた。
怒ってプリプリして車を降りたせいか、翌日お昼になってからメッセージが届いた。見ればハビ吉。

「まだ怒ってる?」
「・・・・・・」
ここで許すから、同じことが繰り返されるのだ。心を鬼にして
「もう一緒に出かけない」
と、答えておく。

が、もちろん聞いてはいないのだろう。そうして私たちは、もう二十年もこうして友達なのだから。

(「マドリッド滞在記」完)

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