7.エスコリアルへドライブ

昨日の続き。マドリッド最終日は、タイムリミット付きの近郊ドライブ。マドリッドから約50キロ。車で一時間。とはいえ、往復で二時間。午後二時には友人宅に集合。
「いざ、マラガに向けて出発!」
というスケジュール。なので、朝からきびきびと行動(笑)。

「で、なんていうんだっけ?私たちが行く村は」
「サン・ロレンソ・デル・エスコリアル」
長い。覚えられない。
「で、何があるの?そのサンなんとかに」

それには答えずに、ハビ吉はハンドルを握っている。こういう、質問に答えないで自分の世界に没頭する、ということが頻繁にあるのだが、文句を言うと
「ももだってそうだよ。いや・・・僕以上かも」
などと言い返されるので、黙っている。

「村で過ごせる時間は・・・きっかり一時間半だからね!」
いいね、という口調で言い放つ。
「バーレ(わかった)」

まぁ、任せておけば、時間になったら無理やり腕を引っ張られて、車に押し込められるだけなのだ。ほかっておこう。

さて、快適なドライブの後、サン・ロレンソ・デル・エスコリアル村が山の中腹に見えてきた。なにしろ前情報がないので、まずその「遠景」に驚いた。
「なに、あれ!あの大きな建物」
「コンベント(修道院)だよ」

とにかく大きい。立派。想像を絶する「コンベント(修道院)」が、それもこんな山すその小さな村に(写真一枚目)。いきなりすぎる。近づいてさらに仰天。城壁を思わせ堅牢な造り。広大な敷地。まるで城か宮殿のよう。

「中に入ろう!」
「次回ね」
「えっ」
「時間ないもん」
「うそでしょ」
「八時に起きてれば、ねぇ」
「・・・・・」

八時起床。それはどう考えても無理だったので、潔くあきらめる。でも、外回りを眺めるだけでも十分美しい。たたずまい、というか、この山裾にそびえる姿そのものが、十分に心を満たしてくれる。

「やっぱ山の近くは涼しいね」
「雪を見に、ここまで電車で来たことがあるよ」
「まさか。雪を見るだけのために?」
「そう、もちろん」
「誰と?」
「一人で」
「・・・・・・」

歩けば汗が出てくるが、マドリッドのセントロとちがい涼風が吹く。視界の端にいつも山があり、避暑地の風情。山裾にたたずむせいか、どこかアルプスの村っぽい。教会や噴水、広場など、村の中を一通り散策。ざっと早足で回って40分。

「あー、のどが渇いた。お腹もすいた」
動物のよう。だが「食べる&寝る」は私の基本大事なのだ。
「手作りケーキのおいしい店があるよ」
「ふーん」
甘いものに興味がないので、テンションが低い。

しかし、そんなことには慣れっこのハビ吉。いざ食べ出すと、私の瞳が輝き出すことを知っているので
「二つ頼んで、半分こしよう」

それが、けっこう大きい。チーズケーキと、ドゥルセ・デ・レチェ(四~五枚目)。お店の中にもテーブルはありますが、見事に誰もいない(笑)。スペイン人は本当に外にいるのが好き~。

「あっ、もう帰る時間」
「えー、もう?」
むんずと腕をつかまれ、ずるずる引きずられながら車へ。やはり。私は時計を見なくても大丈夫なのだ。

マドリッドに向けて再び出発。あっ、スペインをドライブするみなさん、アウトビア脇にあちこちに建てられている「闘牛の看板」を探して見てください(九枚目)。乾いた大地に黒いシルエット。青空を背負って。これぞスペイン。オーレ!

約束の二時ジャストに友人宅へ到着。これから四人でマラガへ。運転を代わりながら500キロを南下の予定。はたして無事マラガへたどり着けるのか。なにしろ、この日の夜。マラガでは「サン・フアン」のお祭りが。週末にひっかけて、海辺はものすごい人出になるのだ。

「とにかく、マラガに着いたら、町が混雑する前にまっすぐ家に帰ろう」
と、いうのが私の目標。夕方にはシャワーを浴び、荷物を解き、オウムの世話をする。というのが、私の予定であった。

しかし。言うまでもなく。私をマラガで待っていたのは、予想もしない「プラン」であった。
(明日に続く)








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