サン・バレンティンに思うこと

今日はサン・バレンティン(バレンタインデー)。スペインでは「ディア・デ・ロス・エナモラードス(恋人たちの日)」と言い、恋人同士、贈り物をしたり食事に出かけたり。もちろん、日本のようにチョコレートを贈る習慣はありません。

私は恋人も、その影もないので、自宅でいつもどおり「ピアノレッスン」。その合間に「編曲」をし、夕方からは、いつものように「サルサ教室」へ。走って駆けつけ、踊って、食料品袋を両手にぶら下げ、家に帰ると夜の八時すぎ。これが、最近の生活パターン。

ソファもテレビもないので、疲れたらいきなりベッドへ。もう寝てしまう(笑)。だから、すごい勢いで動いているか、寝ているか。しかない。動物みたい。我ながら。それでもテラスに「台とドア板およびクッションマットで作ったソファ」があるので、日光浴&お昼寝はできます!ここで、昼間三十分ほど充電。太陽で骨まで温める。オーレ!

今年に入り、私の大きな変化は「ピアノを一人で弾く」気持ちになったこと。ずっと十八年間、ベラと二人でドゥオとしてやってきて、相手は絶対に変わらない(追加メンバーはあっても)「夫婦漫才」みたいなドゥオだった。いつでもどこでも一緒。練習も仕事も。打合せも出張も。

だから、私にとって
「一人でもピアノを弾きたい!」
という強い衝動は「生まれて初めて感じる思い」だった。プロとして弾きたいのでなく、友人宅やピアノがある場所で
「すみません、私、弾けません」
と言うのに、自分がうんざりしてしまったから。そして
「あの、ハーモニーとリズムの波の中にもまれたい!」
という、押さえきれない衝動が、私を突き動かしたから。

それで今年、まず最初に「誕生日のうた」をブルース風にアレンジした。今、二曲目は「You dont  know what love is」というジャズ・バラードを編曲中。切ない恋の歌。バレンタインデーにはぴったりかも。そして三曲目は、ラテンジャズから一曲、予定している。

編曲はいつも、A4コピー用紙に五線を引き、その上に音符やコードを書き込んでいく。使うのは、決まって青ボールペン。10本五ユーロの。編曲というのは「弾いてはメモる」の連続なので、ボールペンは手にはさんだまま。弾く(笑)。

集中してくると、時間や肉体の感覚がなくなるので危険。なのですが今は、べラのかわりにオウムが
「おなかすいたよー」
「あそんでー」
「頭かいてー」
と訴えてくれるので、思い出す(笑)。ああ、もうこんな時間だったか、と。
一時間に一回はイタズラをして、イスから立ち上がらせてくれるし。

その合間に、「ブログ」を書き、週末やレッスンの少ない日に「絵」を描き、あっというまに一日が、一週間が過ぎていく。

べラが亡くなったとき、膨大な一人の時間と家のスペースを持て余し、呆然としてイスに座っていた自分を、今も時々思い出す。全身「喪失感」で打ちのめされて。あのとき、自分は息をしていたのか。わからない。

それを思うと、なんて活動的になったのだろう。と思う。一年半、とはそういう時間だ。ベラと母、そして「ピアニストであるという大黒柱」を失った喪失感。その中で立ち上げたアトリエ「風羽音ふわりん」。

先は見えないけど、収入になるのはまだまだ先だけど、今は息をして生きている、自分の足で歩いていることが、うれしい。そして、この一年半、本当にたくさんの方々から応援、メール、手紙、言葉、笑顔・・・をいただきました。本当にありがとうございました。

サン・バレンティン。たくさんの愛情、友情に感謝する日。その気持ちを、音楽と絵にかえていきたい。

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