カナルスールの歴史に残る大失態

南スペイン・アンダルシア地方を代表するテレビ
「カナルスール」は、このたび大失敗をやらかした。
その失態具合が、常軌を逸しており
アンダルシアでは今、大問題になっている。

まず、日にちがいけない。
12月31日。
そう、大みそか。一年のしめくくりの日である。

さらに、時間帯がこともあろうに
2014年最後のカウントダウン。
12時を目指して、アンダルシア中の人々が画面を見つめ
「10,9,8・・・・」
とカウントダウンしながら、ぶどうを12粒飲み込み
すばらしい新年を迎えよう!と思ったその瞬間
その悲劇は、起こった。

私は、ライブでなく、後日その映像を見たのだが
正直、本当にこんなことが起こったのか、最初信じられなかった。
その「カナルスールの大失態」は、現在も責任追及が終了していないが
次のようなものであった。

正装した司会者が、テンション高く叫んでいる。
「さぁ、みなさん、ぶどうの用意はいいですか!
2014年もあと少し、いっしょにカウントダウンして新年を迎えましょう!
いきますよ、10,9・・・」
その瞬間、いきなり「広告」が流れだした。
アンダルシアの人たちは、最初何が起こったか、わからなかっただろう。
「これは、いったい・・・・」

ぶどうを手に、固まっている何万というアンダルシアっ子の姿が
目に見えるようである。
実際、再び映像が元に戻ったときには
とうに新年になっており、司会者たちはにこやかに
「フェリス・アニョ・ヌエボ~!(あけましておめでとう)」
と、喜びの絶頂に達していた、らしい。

「カウントダウンも、ろくにできないのか!」
「あれは何なんだ、広告なんか見たくないぞ」
「来年はカナルスールはもう見ない、別の局でカウントダウンする」
と、視聴者たちから抗議が殺到。

この映像、「youtube」でも、見ることができます。
ちなみにカナルスールは「CANAL SUR」と、書きます。
「カウントダウンの鐘」は「CAMPANADA」
これで、うじゃうじゃ出てくるんじゃないかなぁ。
それにしても、不思議な映像だ。
どうしてこんなことになちゃったのかなぁ。

ところで、もうひとつおもしろい映像が、youtubeにアップされている。
それは、このカナルスールのカウントダウンを見ながら
ぶどうを飲み込もうと大騒ぎしているスペイン人家族の映像。
「みんな、用意はいいかぁ」
と、上機嫌のお父さん。
「はーい!」
とこれまたテンション高いお母さん、子供たちの笑顔。
居間でテレビを見つめながら、ぶどうを片手にカウントダウンを始める。
「10,9・・・・」
その瞬間、例の広告が始まる。
「なんだぁっ、こりゃ!」
その一家の表情が、わずか数十秒あまりのあいだに
「驚き」「不理解」「疑惑」「怒り」「茫然」「落胆」と
刻々と変わっていく様子が、圧巻である。

この映像を見るだけでも、価値があった。
カナルスールは
歴史に名を残す大失敗をやらかしたおかげで、これから年末になるたび
「カウントダウンはだいじょうぶか」
とスペイン中で心配してもらえるチャンネルになった。
そしてだめで、もともと。
うまくできれば、できの悪い子どものように
「やれば、できるじゃないの!」
と、ほめられる不思議なポジションを獲得したのである。

とりあえず、アンダルシア人にとって
忘れられないカウントダウンになったことはまちがいない。

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