3500ユーロのバッグ

先日、友人が置いていった
「女性ファッション誌」を見ながら
ベラが言った。

「このバッグ、3500ユーロもするの?」
「どれどれ・・・」
それは、有名なブランドの
わずか15センチ角の
小さなショルダーバッグだった。

「こんなに小さくて?
3500ユーロもするの?」
口調は穏やかだが
息を飲んでいるのがわかった。

「サイズには関係ないんだって」
「こんなに小さくちゃ、何も入らないよ」
「だから、入れようと思ってないんだって」

しばらく考えていたが
「あっ・・・」
と、わかったようにつぶやき
「何が入ってるんだろう、中に」
「はっ?」
「3500ユーロもするんだよ。
きっと中に何か入ってるんだよね」
「・・・・・」

福袋では、ない。
そう言ってやろうと思ったが
ひとり静かに納得し
幸せそうだったので
そっとしておくことにした。

「ブランド品だから、高い」
という概念は
ベラには存在しないのだろう。

大きいから
役立つから
頑丈だから
便利だから、高い。

世の中、こういう人ばかりだと
ブランド品は売れないだろうな。

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより