ももショップのアトリエ作り・1

このブログの管理者であるクロ隊長と
「オンラインショップ」の設立に向けて
毎日、ごたごたとやっている。

オンラインショップを作り
「もも作品をカタログ化」
しようというわけなのだ。

まずは「ショップ名」を決めること。
これだって
クロ隊長の「ダメ出し」があり
「もっとおしゃれに!」
「流れや音が感じられるように」
と、過酷な指示が飛ぶ。

ショップ名が決まったら
今度は「ロゴ」を作ること。
これだって一回目でOK
ということはなく
「線が細い」
「文字に力がない」
と、実に的確なコメントが
送られて来る。

「ううむ~」
おっしゃることが
いちいちもっともなので
トイレにいても
ベッドに入っても
掃除、洗濯をしながらでも
考える。

それでも何か
アイデアを考えつくたびに
「おおっ、そうだ」
「あぁうっ」
などとうめきながら
クロ隊長にメールを
一方的に送りつける。

「まとめて一括して送信」
という機能モードが
パソコンにあっても
私についていないので
思い立ったら、送る。

クロ隊長はきっと
メールボックスを開くたび
「うわぁああっ」
と、怒涛のように届く
私のメールに
のけぞっていたにちがいない。

時間がないときなど
「手書きのアイデア」を
そのままデジカメで撮り
メールに「資料添付」して送った。

私は手書きは早いのだが
文字を打ち込むのは
非常に、遅い。

そんなある日
私の中で、何かが起こった。

たとえ「オンライン」とはいえ
クロ隊長に
「ショップを立ち上げますっ!」
「これからはアトリエです」
を言い放たれた瞬間から
私の中で、何かが変わった。

いや、正確に言うと
何かが、動き出した。

「アトリエ」と銘打つ限り
「ここをアトリエにしなくては
いけないのではないか!」
という猛烈なエネルギーが
腹の底から湧き上ってきた。

そして同時に
怒りが込み上げてきた。
具体的に言うと
「アトリエなのに
なぜリビングの中心に
『ソファ』があるのか」
ということだった。

別に「オンラインショップ」なのだから
ここに直接、お客様が
いらっしゃるわけではないのだが
「そういう問題ではない」
のである。

これを考え出したら
眠れなくなってしまい
朝の3時、5時と
時間だけが過ぎていく。

これは私に
「やるべきことがある」
「それをしていないから」
この悶々は起こるのだ。

そう思い立つや私は
力強くベッドから立ち上がった。
朝の6時とは思えないほど
頭はすっきり
全身は情熱で燃えている。
「よしっ、ソファを捨てよう!」

この「思い立ったら行動」は
日常茶飯事なのだが
さすがに2メートルあるソファとなると
話は変わってくる。
これを運び込んだ時
大の男が二人がかりだったのだ。

「捨てるったら、捨てる!」
気が変わらないうちに
実行してしまわねば。

音をたてないように
ソファを立ち上げ
ゆっくりと玄関へ運ぶ。

こんな力仕事をしていると
寒さも感じない。
「はぁはぁ」
という自分の息づかいだけが
耳に響く。

私は、必死だった。
リビングのまん中を
占領しているソファ。
これをどかさないと
何も始まらない気がした。

そこには「作業テーブル」が
置かれるべきだ。
本当に私が
「アトリエ」を立ち上げるなら。

その決意。覚悟。
それをしないで
どんなスタートがあるのか。
意思表明。
決意表明。
その第一歩が
「ソファを捨てること」
なのだ。

まだ人々が起き出さないうちに
捨ててしまおうと
私は必死でエレベーター前へと
こっそり運び出した。

が・・・
入らないのである。

その時になって思い出したが
2年前にリフォームされ
エレベーターは2回りほど
小さくなっていた。

「どうやって捨てよう・・・」
再びソファを部屋に運び入れ
頭をひねる。

「これは・・・解体しかなかろう」
仕方なくソファの布地を
カッターで切りさき
骨組である8センチ平方の木材を
のこぎりで切ることにした。
「これもすべて、アトリエのため!」

本当なのか。
口をはさんでくれる人が
いなくなってしまったので
ブレーキのついていない私は
非常に危険な状態に
置かれている。

「自分を振り返る」
「もう一度よく考える」
などはこれまで
べラが私の代わりに
やってくれていたのだが
今は、思いたったら即行動!

「ギッコギッコ・・・」
先日、腰を痛めたばかりなので
右手、左手でバランスよく切り
30回動かしたら別の仕事に移る
という徹底ぶり。

結局2時間かけて
ソファは二つになった。
「ムイ・ビエン(よしっ)」

これでエレベーターには入るであろう。
とりあえず軽い方は
一人でも運べそうだ。
重い方は・・・
いつかこの部屋を
訪れてくれる人を待とう。

大きなソファの塊は
玄関の横に置きざりにし
「アトリエづくり」を
さっそくスタート。

ソファがなくなったリビングは
見ちがえるようにすっきりした。

それは「空っぽ」ではなく
「ここから何かが生まれる」
不思議なエネルギーに
満ちていた。

(明日へ続く)

 

 

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより