口の中でバキッと音がして

咽頭炎から副鼻腔炎に移行した。気がする。鼻水と咳とたん。頭や頰が痛い。頭を押さえながら朝食を食べていたら「バキッ」と音がして、口から固いものが出てきた。

吐き出すと、それは自分の「歯」の一部だった。実は昨日、左下奥歯に違和感を感じ

「なんとなく歯の一部が欠けているような気がするから、歯医者の予約をお願いします」

と、日本の父にメッセージを送った矢先のことであった。大口を開けて鏡をのぞき込むと、見事に歯が欠けている。

「うそ。体が壊れていく・・・」

今、この瞬間は痛くない。が、ばい菌が入ってしまったらどうしよう。副鼻腔炎だし。あわてて父に変更メッセージを送る。

「日本に着いたらすぐ歯医者に行きたいから、一番早い予約をお願いします」

その10分後、父から返信が。なんとか無理を聞いてもらえたらしく、予約は「日本到着日の午後3時」となった。空港から直行かも。

ばい菌が怖いので、トイレに行くたびに重曹で口をゆすぐ。さらに熱いもの、冷たいもの、固いものはだめ。

というわけで、病院食のような毎日。あまりのつらさで、ピアノを弾いてみる。気分が晴れるかなぁと思って。

もちろんオウムは誘っていない。が、必ずついてくる。私のいる場所へ。叱る気力もないので、ほったらかし。

そしたら。写真に見入っていた。ピアノの上に掛けられた母と私の写真。そのとたん、母の言葉がよみがえってくる。

「ももちゃん、体は誰も変わってはくれんでね。体を大切にね」

涙が出てきた。が、副鼻腔炎なので(自己診断)涙を発生させると鼻の奥がじんじん痛んで、泣くこともできない。

「うわぁ〜、体を大切にしよう」

その決心を、ピアノにぶつけることにした。そして。気がついたら「君が代」を編曲していた。

なぜ「君が代」なのか。わからない。でも、その間は少しも体はえらくなかった。好きなことって麻薬みたい。すごいな。

鼻水、咳、痰、頭痛。歯も欠けたけど、ピアノは弾ける。絵も描ける。たとえ一日1時間の生産力でも。あるもの大切にして、回復していこう。

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより