【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「U（うー）」を作った。ウエスカ県を出ると、一路マドリッドへ。秘境から首都へ、辺境から大都会へ大移動。

「高速道路なんて久しぶり〜」

車と人でいっぱい。あの3日間がうそのよう。わずか数時間で、これだけ世界が変わってしまうとは。

「羊たちはどこに？」「聖なる谷は」「羊飼いのおじさんは」

高速道路が、なんだか異様に感じられる。こんなにも急いで。こんなにも沢山の人々が、同じ方向に。私の心は、あのピレネーの山々へと漂い出す。

山々の稜線、渓谷の水音、羊たちの鈴の音、暖炉の木の香り、天空の村の静寂・・・本物が持つパワー。圧倒的な。絶対的な。

「さあ、マドリッドに入るよ」

高速道路から市街に突入するや、ものすごい車の量。片道5車線とか（笑）。乱立するビル群の中を抜け、ハビ吉がシェアするマンションへ。

これにて、車の旅も無事終了。ハビ吉、本当にありがとう。連日6〜7時間の運転、お疲れ様でした。ここからは列車の旅。特急AVEでマラがまで2時間半。

「ピレネー山脈の村で仕入れた肉だよ」

夕食、朝食、昼食。全てハビ吉の手作り。なんておいしいんだろう〜。私にできるのは片付けとか。洗濯物をたたむとか。無能ぶりが際立つな（汗）。

マラガに無事帰還すると、太陽と地中海が出迎えてくれた。アトリエが。オウムが（←機嫌悪し）。フラメンコが。オーレ！

アトリエライフに戻ってからも、私の心は時々ピレネーの山々にさまよい出す。­ふらりと。なんの前触れもなく。

「温かいお茶一杯飲めない村や、薄っすらと雪化粧をほどこした山々、羊たちがなだれ込んで来た小道や、石臼のテーブル、渓谷で出会った羊飼い、2000m級の山々を眺めて暮らす猫たち」

に会いに。愛しさ。かけがえのなさ。隠れ家のような場所。聖域。私にとって

「インスピレーションの種火は、何かを大切に思う気持ち」

だ。スマホの呼び出し音を「羊たちの行進（首につけられた鐘の音）」にしたいくらい（笑）。バスの中で鳴ったら

「えっ？なに？どこ？羊たち？」

みたいな。今夜も寝る前に「羊たちの行進」を聴きながら、心地よく寝落ちしよう。

これにて「ピレネー山岳の旅」シリーズも終了。おつきあいくださったみなさま、ありがとうございました。どんな作品が生まれるのか。ただ今、消化中。楽しみだな。（完）