音玉の贈りもの

【一日一作プロジェクト】今日の絵。物語アート「音玉の贈りもの」は、53年前の両親、まだ20代だった父と母へ贈りたい。

「お父さん、お母さん。誕生日をありがとう!」

生まれてきて本当によかった!命をありがとう。毎日、全力で生きてるよ〜。私のことを「野鳥」と呼び、自分は「野鳥の母」と言い切っていた母にちなんで、鳥にしたよ(笑)。

天を守る白い鳥は父。大地を守る黒い鳥は母。血管(黒線)がのびて、胎内(黒線に囲まれたスペース)で、青い鳥(私)が育っている。

周りには「音玉」が舞い、流れる音楽が極彩色の波動となって、若い夫婦とこれから生まれる命を祝福している。

「祝福画」

両親が、この絵を私に描かせてくれた。技術や知識はなくても、感謝で絵は描ける。タイムリミットの4日間。立ったりしゃがんだり。ひざまずいたり。全てを床で描き上げた。

 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎「音玉の贈りもの」✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

これは、今から53年も前のことです。

2人は、夢と希望にあふれた若い夫婦で、日毎に大きくなるお腹の赤ちゃんに「何かしてやりたい」と思っていました。

「そうだ!音楽を聴かせてあげよう」

2人はなけなしのお金で、当時5万円もするステレオを購入しました。

その日から、赤ちゃんは毎日、耳を澄まして美しいメロディに聴き入るようになりました。あんまり気持ちがいいので、眠りながら聴いていることもありました。

月が満ち、2人のもとに届けられた赤ちゃんは、とても小柄な女の子でしたが、それは大きな耳を持っていました。

あたりまえです。毎日毎日、ステレオから流れてくる音楽に、じっと耳を澄ませていたのですから。

そして、2歳半になるとオルガンを。3歳になるとピアノを買い与えられたのでした。父親が、車を買うよりも先に。

まだ上手に話すことも、弾くこともできなかったけれど、生まれてくる前から、その不思議な音色は知っていました。

「音」に名前がついていると知った時は、うれしくて何度も呼びかけてみました。女の子にとって「音」は、生まれてくる前からの、最初の友達だったのです。

「こんにちは、ドレミファソラシド!」

若い2人はまだその時、彼らが贈ったものに気づいていませんでした。それは全ての音を聴き分け、言い当てることのできる能力。

大きく開かれた女の子の耳は、音楽家の命でもある「絶対音感」を授かっていたのです。そしてそれは、赤ちゃんがこの世に生まれる前、ママのお腹にいる間に作られたものでした。

その女の子は、ピアニストになったのでしょうか。音楽はまだ、女の子の友達でいるのでしょうか。その夫婦は、すばらしい贈りものを授けたことを知っているのでしょうか。

たとえ知らなくても、ピアニストになっていなくても、いいのです。夢と希望にあふれ、情熱と勇気に支えられた日々を持つ限り、そこから愛は枯れることなくあふれてくるのですから。

(両親がのちに語ってくれたことをもとに作りました)

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お父さん、お母さん、誕生日をありがとう!

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