花月夜のバイオリン

【一日一作プロジェクト】石ペイント「花月夜のバイオリン」を作った。用事で久しぶりにセントロへ。週末で、さらにハロウィン。こりゃすごい人かなーと思いきや

「えっ、なに。めちゃ空いてる〜」

メインストリートのラリオス通り。なんなん。がら空き。週末でハロウィンなのに?(写真)。さらに

「仮装してる人には、全く会わず」

夜ならゾンビや魔女がうろついているのかもしれないが「夜間外出禁止令」によりレストラン&バルの閉店時刻は

「夜の10時半」 

絶対厳守。さらに11時には、なんとしても家に帰っていなくてはならない。そんなこんなで街は静まり返り、仮装している子供たちはわずか数人。

セントロのあちこちに取り付けられた、毎年恒例のクリスマスイルミネーションやクリスマスツリーも、どこか寂しげ。

「あのキラキラを今年は見ることないのかな」

と、ぼんやり思う。イルミネーションは、この昼間の「設置見学で見納め」になることだって十分ありうる。私の周りでは多くの人が

「クリスマス前にはロックダウン」「いや、もっと早い。今月中にはスペイン全土都市封鎖」

と口をそろえる。そんな中、昨夜「暴動」が起きた。マラガ市街のウエリン地区。私が歩いていたセントロから、バスで10分ほどの住宅街。

「夜間外出禁止令」「コロナ規制」などに反するデモが過激化し、負傷者も出る暴動となった。驚くような写真や動画がスマホにバンバン送られてくる。

「これでロックダウン(都市封鎖)になったら」

どうなることか。スペインには、長く暗い冬が待っていそうだ。こんな状況だからこそ「青い空と街路樹のオレンジ」が、いっそう輝いて見えた。

「これこそ最上のイルミネーション」

自然の贈りもの。なんてすばらしい!価値観、大切なもの、プライオリティがどんどん変わっていく。ものすごい勢いで

「何かが、そぎ落とされていく」

今年、私の中から出て行った沢山のものたち。するり、ふわりと出て行った。音もなく。一瞬で。これからの私に、たぶん必要でないがために。

「花月夜(はなづきよ)のバイオリン」

ストリートミュージシャンや大道芸人、ビスナゲーロ(花売りのおじさん)が、マラガの通りから、姿を消しつつある。

「音が消え、笑いが消え、花が消え」

誘われるように、ふと足を止めることもなくなった。私たちを幸せな気持ちにしてくれたあの人たちは、どこに行ってしまったのだろう。

守らなくては。思いを、祈りを形に。電気のイルミネーションは、たとえなくなっても心は痛まない。

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