ぜいたく貧乏食堂オープン!

4月、5月から「演奏シーズン」であるわたしたちは
毎日、新曲の練習に余念がない。
「カンヅメ編曲」からは、開放されたが
朝は、それぞれの部屋にこもって個人練習。
その後、バイオリンとピアノのあわせ練習。

これから半年に渡って始まる「シーズン」に向け
この時期、音楽屋はウォーミングアップ!の時期なのだ。
ほんと、スポーツ選手と似ているな、と思う。
肉体労働。シーズン労働。けがで欠場が一番困る。

さて、音楽プロダクションもこれから夏にかけて大忙し!のはずなので
さっそく「今年のスケジュール」を確認しようと電話をかける。
が、なんということであろうか。
「それがねぇ、不況で・・・・仕事、ないよ」
「Mホテル、つぶれるみたいだねぇ」
「Tホテルね、ライブ音楽やめて、CDにするらしい」
「そんなっ・・・・・・・・」

絶句しながら、わたしたちはテラスで、マテ茶を「チューチュー」やっていた。
落ちつけ、落ちつけ。まだ、完全失業と決まったわけじゃない。
「どうしよう・・・」
ベラがぽつりとつぶやきながら、おせんべいに手をのばす。
「ちょっと、それ、わたしの好きな!」
と、阻止できないくらい、頭がまっしろになっていた。

これまで数年に渡っておつきあいのあった「Pホテル」や「Hホテル」に
「不況で、今年はライブ音楽、やめにします!すみません」
と言われたあたりから、わたしたちの「2013年」は、暗雲がたちこめ始めた。
あわてて他のホテルやプロダクションに電話をかけるが、
返事はどこも同じ。

「さーてと。やるか!」
おせんべいを一枚残らず、きれいにたいらげたベラは、ゆったりと立ち上がった。
それはまるで、「三年寝太郎」が突然、起き上がったかのようであった。
のっし、のっしと電話に近づくと、それから毎日、朝昼晩
アンダルシア中のレストランに、仕事獲得!の電話をかけ始めたのである。

「三年寝太郎」は、一度起き上がると、強い。
パソコンに「レストラン」と入れるだけで、情報が山のように出てくる。
「すべてに断られることの方が、難しいよね!」
と、なかなか鋭いことを言う。

その日から、ベラの基本姿勢は
「バイオリンといっしょ」
「電話&パソコンといっしょ」
「わたし&オウムといっしょ」
の、いずれかになった。
そして、そのあいだいつも、手の届くところに「マテ茶」。

「なんか僕、刑務所にいるみたい。外食もお買い物もお出かけもなし。
いつも同じことのくり返し。しゃべるのは、ももとオウムだけだし・・・」
「ベラ、がんばって!ベラがこのチームの希望の星☆なんだよ」
それを聞くと数秒、黙り込み
「もも、考えをあらためた方がいいよ。星は別の人したら?」
と、親身になってアドバイスしてくれた。

閑古鳥が鳴いているマラガのホテル。
が、うちは閑古鳥に、巣を作られてしまったみたいだ。
なんとか早く、出て行ってもらわねば。

まっ白なスケジュール表を見ながら、
「料理係」であるわたしは、今週から「食費は週4000円!」と腹をくくった。
白紙にマジックで、ポイントを記す。
1、一日600円。
2、しっかり栄養をとる。
3、食卓に「ぜいたく感」が、漂っていること。

こうしてオープンした「ぜいたく貧乏食堂」。
いったい、どうなるのか~。
とりあえず、パンやお菓子は、手作りですね。
作り方を知らないだけで
安くておいしい料理が、この世にはたくさんあるはずだ!

料理を始めるきっかけが「不況」というのが情けないですが
何事も「やってみる!」ことに価値がある。
「ぜいたく貧乏食堂」オープン!
よかったら、遊びに来てください。飲み物持参でお願いします。

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「ぜいたく貧乏食堂オープン!」への2件のフィードバック

  1. 食が寂しいと心も寂しくなるので、ぜいたく貧乏食堂っていい考えだなと思いました。しかし、なかなか想像以上に厳しいですね。。。お仕事ありますように。。。

  2. クロ隊長、応援エールありがとうございます!
    仕事探し、がんばってます。

    「実際600円で、マラガではどんなものが食べられるのか」
    5月から、写真つきで紹介していきます。
    どうぞ、お楽しみに♪
    って、楽しいことなのか?

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