クリスティーナの雷

先日、絵の仲間のクリスティーナとランチをした。うちから10分の行きつけ超庶民的バル。そもそもの発端は

「大至急、会う必要がある!今すぐに」

という有無を言わせぬメッセージにおののき、ない時間を無理やりひねり出す。

「朝から銀行、郵便局、コピー屋、食料品の買い物と回るから、2時集合の3時半解散でもいい?」

なにしろその後、4時から8時はピアノレッスンがぎっしり入っている。バルに駆けつけた時、私は大粒の汗。両手には食料品が2袋ずつ。計4つ。

「どうして宅配サービスを利用しないのか。コロコロ付きのバッグを買うとか!」

会っていきなり、叱られる。クリスティーナは2歳上なのだが、まるで「母」のような話し方をする。

「鼻水と咳が止まらずって、もう3週間でしょ。長すぎる!薬は?医者には行ったのか」

ダメ出しは続く。さらに。

「食料品を持ってきてって、なんで言わないの!あるいは、いっそうちに駆け込んで面倒見てほしいって言うとか」

感謝しながら、そっと答えた。

「本当にダメな時になったら頼むよ」

「だから、それが今なんだって!去年も咽頭炎になって誰にも助けを求めないで、自分一人で治そうとしてた。覚えてる?私を信頼してないの?」

バルのみなさんの視線が、いっせいに私たちに注がれる。それくらいの迫力だった。そして。クリスティーナの鬼気迫る表情は、人間らしく誇らしげで美しくさえあった。

「ま、叱るのはここまでにして。おいしいもの食べて!ごちそうするから」

いつもは「絵」の話ばかりしている私たちだが、数ヶ月に一度こうして「雷」が落ちる。

怒られないと、気づけない自分のパターンに、正面からズバッと気づかせてくれるクリスティーナ。私にとっては「姉」のような存在。

感謝の気持ちを込めてそう言ったら、なんと私は「弟のような存在」らしい。それも風来坊の(笑)妹じゃなくて?

Facebook にシェア
[`google_buzz` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です