月と古城と羽猫シリーズ

【一日一作プロジェクト】「月と古城と羽の生えた猫」シリーズ3枚目を作った。先日、画材屋へ行った際、すごいおばさまをお見かけした。ロックダウン前日だったこともあり

「10人以上が店の前に」

うじゃうじゃと集まっていた。一列でないのは、犬を連れていたり、子供たちを遊ばせていたり。店内には1人ずつしか入れず、軽く30分待ちなので、整列はしていない。

その代わり、というのか。スペインには「最後尾確認システム」がある。うじゃうじゃ集まっているみなさんに向かって

「すみませーん、どなたが最後尾ですか?」

と、確認するのだ。「私です」と答えてくださった方の顔を

「なんとしても覚えていなくては」

ならない。その人が、言ってみれば「番号札」なのだ。「その人の次にお店の中に入れる」という。そんな中、私は最後尾らしきご婦人に声をかけた。

「すみません、最後尾ですか?」

おばさまは、ぐるりと振り返るや、キッと私をにらんだ。その時、ソーシャルディスタンスは1,5メートル。もちろんマスク着用。

「まったく。何でもないかのように近づいて」

えっ。私のこと?よくよく見れば、そのおばさまだけ、ソーシャルディスタンスを3メートルほど取っている。ぽつんと1人。その時、若者達がおしゃべりしながら通り過ぎで行った。

「あなたたち!」

おばさまは、マスクをしている若者達を厳しく注意した。ソーシャルディスタンスがほんの一瞬

「1メートルになった」

から。うそ。たった1秒じゃん。そんな調子で、何から何まで気に食わないのだった。誰かが声を上げればキッ。笑えばキッ。犬が近づけばキッ。

そんなおばさまの後方で、私は1人静かにストレッチをやっていた。めちゃ目障りだったはず(笑)。最初はうるさい人だなぁと思ったけれど、よくよく見ていると

「私は怖いんです」

って、全身で言っているのがわかった。近づかれる怖さ。恐怖。怒っているのでなく、必死だったのだ。感染させられたらどうしようと。それがわかって、少しほっとした。

「恐怖は、人を番人にする。攻撃的にも」

もしかしたら、近しい人がコロナで入院したのかもしれない。あるいは、もっと厳しい現実と向き合ったのかも。人の人生はパッと見だけじゃわからない。

私たちの頭上には、すばらしい青空が広がっていた。何度も天を見上げる私に気づいたおばさまが、眉根を寄せてふっと顔を上げた。

「青空!」

一瞬、止まった。顎が。見た?見てくれた?晴天の青空。なんだかすごくうれしかった。コロナ問題はあるけど、青空もある。隣の人より、空を見て!

「月と古城と羽の生えた猫」

シリーズ3枚目。1番下の大サイズのコラージュ画を作った。今回の試みは、キャンバス地から勢いよく飛び出したコラージュパーツ(笑)思いっきりどかーんと。

いよいよ次回でラスト。おぉお、ここまで来た〜(涙)。全てペイントし終わったら、ストーリーを紹介します。みなさま、よい1週間をお過ごしください。

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