14.癒しの奈良

昨日の続き。大阪から一路、奈良へ。近鉄奈良駅を降りてまずは、ホテルへと向かう。駅から歩いて二分、すばらしい立地。駅前商店街、コンビ二だってすぐ目の前。ホテルへ荷物をあずけ、さっそく奈良観光へ出発。

暑い。ものすごい湿度。汗が滝のように流れてくる。拭いても拭いても、後から後から。とどまることなく。このまま溶けて水になってしまいそうだ。

「うっわー、あれ!ちょっと鹿じゃない!きゃーっ」
東大寺をめざして歩き始めるが、五分もしないうちに鹿たちに遭遇。もう大興奮。あぁあ、来てよかった。辺りも緑が多くて、なんて素敵なところなんだろう、奈良って。小学校の修学旅行以来なので、すっかり忘れていた。

「ももはここに来たことあるんだよね」
「うん、でも37年ぶり!」
「おぉお、そんなに・・・・」

それくらい、スペインに渡り、あっというまに月日は流れた。のであった。アルハンブラ宮殿には五、六回は行っているというのに。

さっそく鹿せんべいを購入。見知らぬ私たちにも、鹿は寄って来てくれるのであった。かわいい。鹿せんべいをあげては、お互い記念撮影。動画も撮る撮る。これがスペインへ持ち帰られ、友人間を出回るのであろう。
「ニッポンの聖なる鹿」
として。せっかくだから、触らしてもらっちゃった。

この日のプランは「東大寺」「大仏」「若草山」「春日大社」「興福寺」など、奈良の見どころを、一日かけてのんびり回る。というもの。歩き出して気づいたが、奈良というのは見どころが、ぎゅっと一か所に固まっていてとても歩きやすい。

休める木陰があちこちにある。いつも目の端に緑がある。古い木造建築の温かみ。どこに行っても鹿がいる。とにかく癒されるのだ。
「あぁあ~なんてすばらしい町なんだろう!」

途中、和食ランチをいただきながら一休み。やっぱ冷房は必要だ。この日、奈良は真夏日で高湿度。かいた汗の量が、半端ない。今思うと、それに比べ
「飲む水の量が足りなかった」
と思うが、もちろんそんなことに気づくのは、具合が悪くなってから。である。

「なんか、体がだるい・・・」
「大丈夫?ホテルに帰って休む?」
「ううん、春日大社と興福寺、見たいもん。がんばる・・・」

これが、大まちがい。だということは、みなさんもお気づきでありましょう。そう、その時の私の心理的距離は
「豊橋から来たのでなく、スペインから。それも37年ぶりに」
なので、ここでやめるわけには。なのである。

ほとんど会話もできないほど衰弱。100%近い湿度の中を、黙々と歩く。ミネラルウォーターのボトルを手に、飲みながら歩いているのではあるが、今思えば
「水分だけでなく、塩分や糖分が必要」
だったのである。しかし、そういう思考力さえ奪われてしまうのだ。恐るべし、熱中症。

で、案の定。ホテルに着くや、きゅーばたん。ベッドの上に倒れ込む。
結局、食欲もなく、二人で夕食に行ってもらうことに。幸い駅前アーケード街は、レストランや居酒屋が軒を連ねているし・・・
「じゃ、行って来るけど、何かあったらメッセージしてよ」
「わかった・・・楽しんで来てね」

アイフォーンのおかげで、旅行中も便利。安心。コンビニで買いこんだヨーグルトやオレンジジュース、トマトジュースなどをちびちびやりながら、ベッドの上にひっくり返る。

「やはり、湿気についていけない体になっていたのだ。スペインの乾燥生活に慣らされて、うまく適応できなかったのにちがいない」
テレビを見る気力もなく、目をつぶって休んでいたら、いつのまにか眠ってしまった。

夜の十一時すぎ、二人がホテルの部屋に戻って来た。
「お寿司を食べたよ~」
「よかったねぇ」
「大丈夫?休めた?」
「うん、でも明日の京都、大丈夫かなぁ」
「きっと朝起きたら、よくなってるって」

熱中症。とは、そんなに甘いものではない。ということを知らされるのは、その翌日。なのであった。
(明日に続く)

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「14.癒しの奈良」への2件のフィードバック

  1. えええ~っ、momoさん大丈夫でしたか?
    私も夏場の日本は長く行っていないので、(ウェリントンはたいてい寒いから汗をかくなんてことないし)体が慣れるのかどうか心配です。
    日本の夏は本当に恐るべしですよね。

  2. マラガの熱風テラル、乾燥地獄には慣れていたのですが
    ニッポンの湿気の前に、もろくもダウン(涙)。

    マラガ在住の日本人の友人によると
    「東南アジアに比べたら、日本なんて乾いてるって!」
    とのこと。アジア、恐るべし。

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