10、だめです

最近、べラが「ノー」のかわりに
「だめですっ!」
と言うようになってしまった。

「ノー」にくらべ、心なしか力がこもっているように感じる。
眉間にしわなど寄せているときもあり、
「きょう、だめですっ!」
と、仁王立ちポーズで答える。

そういえば、「OK」のときは
「は~い、わかりました~」
と、笑顔なので、
「言葉と感情、および表情が一致してきた」ということか。
とすれば、格段の進歩である。

わたし自身、スペインに渡ったばかりの頃
「スペイン語で言っていること」と「気持ち」に差があって
非常に苦労した。
というか自分で居心地がわるかった。
「ケ・ディベルティード!(なんて楽しいんでしょう)」
と口にしながら、ちっとも楽しくない。
笑ってはいるが、仮面のようである。

それが、いつのまにか「しっくり」なってくる。
自然に感情表現ができるようになっている。
「言葉」と「気持ち」と「表情」の一致。
この神秘。
言語学習の「第一関門クリアー」は、このあたりにあると
べラを見ながら、思い出した。

(「べラの日本語レッスン・11」につづく)

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより