6.レオン・アルコイリス

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フェオーナは彼女の宝もので
ある大きな鼻の鳥を探して
歩き続けました。
でも、この先にもう町は
ありません。
暗い森が広がっている
だけです。

フェオーナは勇気をふりしぼって
森の中を歩き出しました。

「ちゃんと見つけ出すからね!」
いつも鳥のために歌っていた子守唄を、大きな声で歌いながら。

そのときでした。大きな木の影から、ひとりの魔女が姿を現しました。
ほうきにまたがって、頭の上には小鳥、ほうきの後ろには猫がのっかっています。
「おまえかね?その歌をうたっているのは」
「はい、わたしの大切な鳥のための歌なんです。鼻が大きな。あなたのように。
わたしの鳥を見ませんでしたか?」

魔女はしばらく考えていましたが、残念そうに首を横にふりました。
「この森には、いないね。『囚われのバイオリンの迷宮』に行ってみるがいい。」
「囚われのバイオリンの迷宮?」
「あそこにはいろんなものが、『囚われの身』になっておる。
迷宮は魔の手によって守られておるから、見つけるのは簡単じゃないよ。
それに、あそこから帰ってきた者の話も聞いたことがない・・・」
「そこにどうしても行かなくちゃ。どうしたら行けるのか教えてください!」

「おまえさんの歌をうたってくれたら、教えてもいいがね」
魔女は音楽がたいそうお気に入りなのです。
「もちろん!」
フェオーナはおじぎをすると、心をこめて子守唄を歌い始めました。
1番、2番・・・3番に入るところで、魔女は、大きなあくびをひとつしました。

「あそこに一度入ったら、もう二度と出られぬかもしれん。それでも行くかね?」
魔女の後ろで、猫が、中くらいのあくびをしました。
「わたしの鳥を、どうしても探し出さなくちゃいけないんです!」
「この森をまっすぐお行き。7本の大樹の下に大岩がある。そこが迷宮の入口じゃよ。
いいかい、迷宮に入ったらまず『レオン・アルコイリス(虹色羽ライオン)』を探しなさい。
魔の手も、レオン・アルコイリスには何もできない。虹に守られているからね。
でも、ふだんは白黒の姿で、迷宮のどこかに隠れている。
レオン・アルコイリスを見つけて、おまえの味方になってもらうよう、お願いしなさい」
「どうやったら味方になってもらえますか?」

魔女は、フェオーナをじっと見つめると、はじめて笑顔を浮かべました。
「さあね。おまえは友達になりたいとき、どうするね?」
「ともだちに・・?・」
「おまえならきっとできるよ。くれぐれも、レオン・アルコイリスの機嫌をそこねないように」
魔女の頭の上で、小鳥が、小さなあくびをしました。

(「ベラの絵本・7」につづく)

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより