フェオーナは迷うことなく
「囚われのバイオリンの迷宮」
の中へ入って行きました。
入り組んだ迷路を進んでいくと
どこからかバイオリンの音色が
聴こえてきます。
元気を出そうと口笛を吹くと
目の前の迷路がさっと動いて
形を変えました。
「あら!」
そう、ここは
「音楽によって形をかえる」
不思議な迷宮だったのです。
「レオン・アルコイリス(虹色羽
ライオン)を探し出さなきゃ!」
フェオーナは迷路をどんどん
奥へと進んでいきました。
通路は細く入り組んでいて
とても帰り道など
見つけられそうにありません。
「そうだ、歌をうたおう!」
いつも大好きな鳥のために
うたっていた歌を
フェオーナは歌い始めました。
1番、2番・・・3番に入ったとき
ふいに涙がこぼれてきました。
「どこに行ってしまったの?
どうしていなくなってしまったの」
そのときです。迷路のかげからゆっくりと、白いライオンが姿を現しました。
「ぼくを呼んだのは、だあれ?歌っていたのは、きみかい?」
「レオン・アルコイリス(虹色羽ライオン)!」
フェオーナの方に、ライオンはゆっくり近づいてきました。
最初は怖かったけれど、よく見るとなんだか変なライオンです。
あたまの毛はもじゃもじゃで、そこから一本の葉が突き出ていています。
その先っちょには双葉がくっついていて、しっぽはポンポンの形。
そして背中には、水玉もようの羽がくっついています。
「こんにちは、あなたに会いにきました」
「ふーん。ここは一度入ったら出られない迷宮だよ」
「わたしの鳥を見ませんでしたか。鼻の大きな鳥なんです」
「ふーん。鼻の大きな鳥なら見たな。森を迷って飛んでいたよ」
「ほんと!どうかわたしの友達になってください」
「ふーん。ぼくは音楽が好きなんだ」
「それじゃあ、歌を歌います」
フェオーナは、鳥のことを思いながらいっしょうけんめい歌いました。
「ふんふん、いい歌だ。じょうずな音楽は聴きあきた。
正しい音楽もね。やさしい心、まっすぐな心、そして強い心が僕は好き」
そのときです。レオン・アルコイリスが、みるみる色を変えました。
赤、黄色、ピンク、緑、青、オレンジ、紫・・・
「虹色羽ライオンだ!」
フェオーナが声をあげると、レオン・アルコイリスは羽をぶるるんとふるわせて
今にも飛び立とうとしています。
「さあ、僕の背中にのって!君の鳥を探しに行くよ。さぁ、行くぞ(バモス)!」
(「ベラの絵本・9」につづく)
