大晦日の仕事のはなし

2012年をしめくくる大晦日は
「Old Swiss House」というレストランへ演奏に行ってきました。
スイスのロッジ風のこのかわいいレストランは
マラガから西へ車で30分のところにある
フエンヒローラという町にあります。

この町は、長く続く海岸線にずらりとマンションが立ち並び
ヨーロッパの年金生活者がたくさん住んでいます。
外国人居住率が非常に高く、道を歩いていても
外国人ばかり・・・・
そんな土地柄を反映して、フエンヒローラには
外国人向きの「レストランやバー」がたくさんあります。
もちろん、会話は英語でOK! 

さて、大晦日に演奏した「Old Swiss House」でも、
お客さんの9割は外国人でした。
デンマーク、イギリス、アイルランド・・・
お国はちがえど、今年をふりかえりながら、
家族友人と、新年を祝う。
その気持ちはみんな同じです。

歌ったり、手拍子したり・・・
今日はホテルのラウンジやライブハウスとちがい
アップテンポ、あるいはリズムのしっかり刻まれている
のりのいい曲が中心のプログラム。
ビートルズやフランク・シナトラなどアングロサクソン系の曲も
ちゃんと押さえてあります。

さて、カウントダウンは「ぶどう」を1粒ずつ飲み込みながら
「フェリス・アニョ・ヌエボ!」
みんなが抱き合い、キスをする。
わたしたちは、ここで仕事終了。
ああ、今年もよく、弾いたなぁ。
音楽といっしょに、今年も終えられたなぁ。
そして、お客さんの笑顔。
これがなにより、うれしい。

「もも~、新年おめでとう」
べラが、わたしのほっぺたにキスをする。
そのとき、とても大切なことに気づいて、はっとした。
自分がいつも「音楽と、べラといっしょに」年を終え、
新年を迎えていることに。
「もも~、おなかすいたよ」

飼育係であることを思い出し、我にかえる。
ごはんを造ること、音楽を弾くこと
そして、べラがうれしそうなこと
そのどれもが、
わたしにとっては、かけがえのないもの。
「明日、のぶゆきさんととみこさんに、おめでとうの電話をしよう!」
べラは、帰りの車の中で、日本語の練習を始めた。
「あけましておめでとう・・・ご、ご、ご?」
国はちがえど、心はひとつ!
べラの気持ちは、きっと伝わるよ、と心の中で思った。

~音楽と絵の工房~地中海アトリエ・風羽音(ふわリん)南スペインだより