フェオーナとレオン・アルコイリス
は森に着くと、さらに奥に
むかって進んで行きました。
「この鳥かい?」
見上げると、枝の上で
一羽の美しい鳥が
羽を休めているところでした。
鼻は大きいけれど
フェオーナの鳥ではありません。
「いいえ、あんな水玉もようは
ついていないわ」
「あの鳥は、どうだい?」
確かに鼻は大きいし
水玉もようでもありません。
「いいえ、もっと大きいの」
「この鳥なら、どうだろう!」
「いいえ、ちがいます」
フェオーナは泣き出しそうに
なリました。そのときです。
レオン・アルコイリスが
眉をひそめて言いました。
「もしかすると『大男の島』に
囚われているかもしれないな」
「大男の島?」
「この森の向こうに大男の
住んでいる島がある。森で
迷子の鳥をさらっていくので
有名なんだ」
「その島に連れて行って!」
「メ・グスタ・ラ・ムシカ(僕は音楽が大好きなんだ)!」
フェオーナが涙をふいて、歌をうたい始めると
レオンは気持ちよさそうに羽をぶるるん、とはばたかせました。
「いい歌だな。飛びたくなってくる」
「わたしを連れて行ってくれますか」
「僕は音楽が好き。強い心が好き!」
レオン・アルコイリスはフェオーナを背中に乗せると
あっというまに森を越え、海原に向かって飛び立ちました。
(「ベラの絵本・10」につづく)