フラメンコ&ベルターリの精霊

【一日一作プロジェクト】「ベルターリの精霊」を作った。今夜もセルバンテス劇場へ。信じられない出来事が、私たちを待っていた。

「劇場へマスクなしで入れる!」

うそー。きゃー。2年ぶり。うれしいよ〜。もちろん「自由選択」なので、マスク着用の方々も。ざっと見た感じ

「7割マスクなし、3割マスク」

これまで「マスク絶対着用義務」だったことを思うと、感慨ひとしお。つい1週間前まで「罰金対象だった」のだ。恐るべし。

「うわぁ〜、満員じゃん」

ほぼ1番乗りで入場したのだけど、あっという間に客席が埋まる。本日も2階のバルコニー席。贅沢気分。定員4人の個室なので、どなたとご一緒かなぁと思ったら

「こんにちは、1人で来たんです。フラメンコが好きで〜」

笑顔がすてきな50代女性。よっし。2人で盛り上がろう〜(笑)。急に思ったけど、恋愛小説なら「個室バルコニー席での出会い」なんていいかも。

さて。本日のフラメンコショー。歌い手はイスラエル・フェルナンデス。ギターはディエゴ・デル・モラオ。舞台に2人がぽつんと現れる。深く重いフラメンコからスタート。

「とにかく、聴かせる」

純粋なるフラメンコ。客層もフラメンコファンばかりなので、「オーレ」「ハサ〜」といい間合いでかけ声が入る。だんだんテンポが上がり

「手拍子要員の2人が加わる」

と、一気にテンションが上がる。ギターの弾き方が一瞬で変わる。そうだよね。ソロで弾いたり歌手の伴奏をする時と、リズムを刻む手拍子(ドラムやバス)がある時では

「独壇場みたいな弾き方」

ができる。ノリノリや〜。客席から「タンゴを!(フラメンコの一種)」「マラガの曲を」とリクエストがかかる。いやもう客席、踊り出しそうな勢い(笑)。あっという間の1時間。

「オートラ、オートラ!」

アンコールを切望する声が、劇場に響き渡る。挨拶に舞台に戻ったイスラエルが、感謝の言葉を述べた後、絞り出すように言った。

「僕は、全てを舞台にぶつけた。アンコール用の余力すら残すことなく。全てをもう、みなさんは見た!」

本当にやり切った人だけが、言える言葉。その瞬間、割れるような拍手。そして、ギターリストが何気なく曲を弾き始めた瞬間、なんと!

「手拍子のお兄さん方が踊り出した」

笑。もちろんダンサーなどじゃない。日常的に踊っている自己流のやり方で、楽しげにステップを踏む。それが、絶妙の味わいを醸し出していた。

「見せるためでなく、この瞬間を楽しんでいる人間の姿」

そのなんと幸せで、感動的であることか。ギターの音色に誘われて、イスラエルも笑顔で歌い出す。これまでの緊迫感、迫力から抜け出して、まさにコンサートの終わりにふさわしい瞬間だった。と、その時・・・

「ええーーーっ」

会場がざわつく。なんとギターリストが、ギターを置いて舞台の中央へ。いきなり踊り出したのだ。けして上手なわけじゃない。でも、何より

「楽しくて踊らずにはいられない人間の姿」

に、私は強く感動していた。この開放感。自由感。おおらかさ。これぞスペイン。私の愛するアンダルシア。

「ベルターリの精霊」

「LIBERTAD(自由)」の文字が「精霊」になった。「LIBERTAD」のアナグラム(→BERTADLI)。私たちの心に住む「自由の精」を大切に。みなさま、すてきな1日を。

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