モロッコ産のスイカ

私がよく行くモロッコ人のおじさんがやっている八百屋さん。食料品を買いに行くと、なんと。巨大なスイカが店頭に!

「長い〜!どうして丸くないの?」「モロッコではみんなこの形だよ」

「えっ、まさかモロッコから?」「そう。これがめちゃ甘いんだ」

こんなに大きくて?大味じゃないの?と疑っていたら、おじさんがざっくり包丁を入れる。

「はい、食べてみて」

いきなり始まる試食会。これがまぁ、めちゃくちゃ甘い。砂糖でも入っているんじゃないかと思うほど。

「甘っ!信じられない。スイカ買います!」

実はここ3年、スイカを買ったことが一度もない。うちまで持ち帰るのが一苦労。さらに冷蔵庫のスペースを占領する。そして。何よりスイカの売り方そのものに問題が。

「一個丸ごと、もしくは半分」

こんな大きいの半分って(涙)一人で食べ切るのに何日かかるんだろう。

「そこを何とか4分の1で」

と頼み込む。常連客なんだから。するとそれを見ていたお客さんが「じゃ、残りを私が」と申し出てくれる。これぞ下町エル・パロ地区。オーレ!

そうしてゲットした4分の1。とは言え、小さなスイカなら丸一個分はある。ずっしりとした手ごたえを感じながら、炎天下をふらふらと歩き出す。

右手にスイカ、左手にハチミツと野菜。バーベルだって、十数回ごとに休憩があるだろう。しかし。

「買い出しにはゴールしかない!帰宅という」

さて。帰宅後すぐに冷蔵庫で冷やす。そして数時間後。いざ、お待ちかねのおやつタイム。

「おいしい〜っ!甘ーっ」

こんなにおいしかったんだ、スイカって。天にも昇る思い。本当に買ってよかった。

モロッコの大地で、アフリカ大陸へ注ぐ強烈な日差しを浴びてすくすく育ったスイカ。モロッコ人のおじさん達が自信を持って、笑顔でおすすめしてくれるスイカ。

その全てが、おいしさの秘密。あんまりうれしくてアトリエで思いっきり

「一人スイカ食べ放題」

甘くてどれだけでも食べられる〜。その音を聞きつけ、オウムが飛んできた。

「ぷぷっ、ぐーっ、ふいっ」

不思議な音を発しながら、いきなりくちばしを突っ込む。それがどうも「種」だけに集中しているようす。

「おいしいねーっ」「ぷぷぷっ」

めざすものが違うので、取り合うこともなし。モロッコ産のスイカ、今が旬です。ぜひお試しを!

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