砂の中に全身、埋められる話

先日、両親が九州旅行へ行った。
親戚である秀兄ちゃん&敦美お姉さん、あっ君といっしょに
5日かけて九州を車で回ってきた、と言う。
「よかったよ~、天気もよくてねぇ」

満足そうで何より。
旅の様子をベラに訳してあげると
最初はにこやかに、うなづいて聞いていたが
「砂の中に、全身すっぽり入る温浴があってねぇ~」
のところで突然、顔色が変わった。

「砂の中に全身・・・?」
「そう、顔だけ出して砂の中に埋めてもらうの」
「危ないよ!」
「だいじょうぶ、そんな高温じゃないし、すぐに砂をどけてくれるから」
笑いながら答えるが、ベラの眉間のしわはますます深くなる。
いったい何が危ないのか、とあやぶんでいると
「全身、砂の中に埋められたら、バッグを盗られても追いかけられないよ」
「・・・・・・・・」

そうであった。
スペインをはじめ、海外では絶対に、バッグを手から離してはいけない。
それが、砂の中に自ら進んで入っていく、となれば
「持ってって」と言わんばかりである。

スペインでは用心深い私だが、日本に行ったとたん
すっかり安心してしまうのは、きっと私の日本人の血が
「ああ、もうだいじょーぶ、ニッポンだから」
と、急にだらっとするからにちがいない。

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