パーキングおじさん・2

「ああーっ、それ全部、捨てるんですか!」
パーキングおじさんは、私たちの抱える大袋を目にとめるや
「それ、服でしょう!」
と一発で、中身を当ててみせた。

この日、分別ゴミといっしょに
「古着」を抱えていた私たちは
「街角・古着収集場」に出すため、わざわざここまで来たのだった。
大袋に4つ。とても歩いて運べる重さではない。

これまでの10年分くらいの古着なので、すごい量。
服やパンツはもちろん、
毛布やタオルなど、古いがまだ使えるものは、何でも持ってきた。
不要なら、捨ててくれるであろう。

「男ものの服、ある?」
「大きいサイズだけど・・・」
「ああっ、ジーンズやショートパンツがある!もらっていいですか」
「ええ、もちろん」

古着収集箱へ入れる直前の出来事だった。
「まさか、毛布はいりませんよね」
「毛布?ください」
「まさか、タオルは・・・」
「いただきます」
「これ、薬屋の景品の帽子ですけど・・・」
「パーキングするとき、かぶらせてもらいます」

あっというまに、私たちの10年分の古着、および雑貨は
そうして、パーキングおじさんの手に渡ることとなった。

「ありがとねー」
「こちらこそ、もらっていただいてありがとうございました」
さっきまで、こんな古着や毛布やタオルは
「果たして役に立つのだろうか」
と思っていただけに、とてもうれしくなった。

断腸の思いで、ベラが手放すことにした古着たちは
その瞬間、「ごみ」でなく、「贈りもの」になった。
ごみを贈りものにかえてくれた
パーキングおじさん、どうもありがとう。
これからもがんばって、お仕事続けてくださいね。

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