冬ぶとん・1

少し前のことになるが、私たちは毎年恒例の
「冬ぶとん洗い」をいつ行うか、話し合っていた。
「今年もやらないといけないよねぇ・・・」
「ああー、またこの時期が来たか」
ため息をつきながら、私たちは、その大変さを思い、
なかなか腰が上がらぬのだった。

なにしろこの「冬ぶとん」、5年前に買ったのだが
軽くて大きくて温かくて、そのうえ大特価!だったので大喜び。
「洗濯機で洗えます!」の宣伝文句に、即決して買った。

その「大特価」の理由が明らかになったのは
「さて、洗いましょう!」
と、洗濯機に布団を押し込もうとしたときだった。
あまりのむくむく状態で、布団の半分は外に出たまま。
「こ、これは・・・」

青くなったが、どうやっても洗濯機の中に納まりそうもない。
「だから、特価だったのか・・・」
今さら気づいても遅い。
私たちは仕方なく、「自動洗濯」から「手洗い」に方向転換することにした。

「でも、どこで洗うつもり?」
ベラの質問はもっともであった。
こんな大きなものが洗えるところ、それは風呂場しかない。
私たちは、バスタブの中に冬布団をつっこみ
勢いよく水&液体石鹸をかけ、「足踏み」することにした。

「パッパー、パラッパー」
勢いよく、鼻歌をうたいステップを踏む。
こうなれば、サルサでも踊るしかない。
布団の上だが。

これだけ水分を吸い込んだ大物を洗い、干そうと思ったら
100%お天気、乾燥100%の日を選んで、行わねばならない。
直射日光で一気に乾燥!
「ああ、もうだめ。ベラ、かわって。づかれたー」
浜辺のランニングじゃないが、足腰がじょうぶになりそうだ。

風呂場で、布団を踏みながら、サルサ。
こんなことをしているのは、マラガ広しといえども
私たちくらいなのにちがいない。

(冬ぶとん・2につづく)

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