17.ニッポン再発見の旅

CIMG2919 CIMG3089 (Small) CIMG2923 CIMG3107 (Small) CIMG3101 (Small) CIMG2946 CIMG3092 (Small) CIMG2935 CIMG3103 (Small) CIMG2937 CIMG3111 (Small) 伊賀上野といえば忍者、
と思いこんでいたわたしは
この山間の小さな町が
「松尾芭蕉のふるさと」で
あることを知り
今さらながらに、感動した。
まさしくニッポン再発見の旅。

写真の「みのむし庵」は
伊賀上野の旧市街に
ひっそりとたたずんでいた。
散策しながら偶然、
見つけたこの庵。
これといった看板もなく
ともすれば見落としてしまい
そうな隠れ家的な奮囲気。
こじんまりとしているが
実に風情がある。

緑に包まれた敷地に
秋の木漏れ日が落ちてくる。
色づいた紅葉が、目に鮮やか。
木造の質素な東屋。
石の小道。緑のコケ。
陽の当たる縁側。

「この庵は、芭蕉の高弟
服部土芳の草庵で
30歳より芭蕉に師事して
俳諧一筋の一生を送った
という人である。
この建物は、元禄当時
のまま保存されており
かの芭蕉5庵のうち
現存する唯一のもの・・・」
説明書きを読みながら
思わず「はは~っ」と
ひざを正す思い。

縁側に座って一休み。
日差しが心地いい。
家人もこうしてここに座り、
移り変わる季節の風景を
眺めていたのだろうか。

「想いをはせる」
というのは、若い頃には
できないことだ。だいたい
そんなことに興味はない。
それがどうしたわけか
今回のニッポン滞在では
想いをはせることが多い。

「あ~っ、つかれたーっ」
昨日から、カメラマンをして
くださっている伊藤さんが
縁側にくずれ落ちる。
きっと家人も、ときには
こうして「ごろ寝」をしていた
にちがいない。

スペインに行ってから
歴史といえば世界史だった。
ニッポンに流れる時間。
この国の歴史をわたしは
少ししか知らない。
大人になってから
旅や本を通して自分の国の
文化、歴史に再び触れる
二回目の勉強、
肌を通して実感するニッポン
というものが、わたしには
絶対的に欠けている。

何かとても大切なものを
この17年間のあいだ
してこなかったの感じる。
そのかわり、スペインや
中南米、ヨーロッパに関して
肌で感じ、吸収してきたものも
もちろんあるだろう。

ベラにニッポンを見せたくて
忍者に会わせたくて
日本の旅を始めた。
でも今は、わたしが
自分の生まれ育った国を
知るために、再発見する
ために、帰ってきたんだな
と思う。

ベラに尋ねられても答えられ
ないことがたくさんある。
自分の国なのに。

でも、だからこそ少しずつ
再び出会っていけばいい。
ニッポン再発見の旅!
わたしの中に流れる
日本人の血を感じたい。

「ああー、伊賀上野っていいよ
ねぇ。僕、もう一回来ようかな」
伊藤さんがため息をもらす。
そのときは、笑っていたが
まさか、名古屋に帰るなり
荷物をまとめ、本当に
伊賀上野に戻るとは・・・

伊藤さんの中に流れる
ラテンの血。
それに、気づくためにも
いつかスペインへ来てほしい
な、と思った。

(「ニッポン再発見記・18」
 につづく)

伊賀上野、旧市街のコロッケ屋さんで。
この道60年というおかみさん、「ソースは?」と尋ねるわたしたちに
「うちの手作りコロッケ&カツは、ソースなんぞいりません!」
おっしゃるとおり。あんまりおいしくて追加をお願いしたら
おまけしてもらえたベラ、よかったね。
ありがとうございました。
どうかお体を大事にして、いつまでも名物コロッケを作り続けてください。

伊藤さん&中岡さん、わたしたちの珍道中におつきあいいただきまして
本当にありがとうございました。
大人の秋のしっとり旅、ではなく、あれは修学旅行でしたね。
おふたりの笑顔が、伊賀上野の一番の思い出です。
「酔っ払い集団」の写真は、わたしのアルバムに保管してありますので
ご安心ください。

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