ガモナル遊歩道・反対デモ

スペインのブルゴ地方にある「ガモナル村」で
数ヶ月前、一つの事件が起きた。
最初は、誰も気にとめなかったこの小さな事件が
数ヵ月のうちに、スペイン全土を揺るがす画期的な運動を呼び起こす。
この奇跡のような「ガモナル村の一件」を、今日は紹介したい。

数ヶ月前、ガモナル村の大通りを
現代的な「ブレバル(遊歩道)」に大改造する計画が持ち上がった。
もちろん、行政側からの一方的な計画である。
住民は、今まで十分に機能していた大通りおよび周辺施設を
なぜ、閉鎖、あるいは立ち退かせてまで
現代的に改造する意味があるのか、と詰め寄った。

病院の医師・看護婦の解雇、ベッド数の不足に始まり
学校の先生の解雇、公共施設の閉鎖・・・と
スペイン国民は、「不況のしわ寄せ」を、身をもって払わされている。
そんな中での、「遊歩道の美化計画」。
「『住民の血税』を、いったい行政は何に使うのか!」

住民の反対を押し切って、工事は始められた。
大通りのあちこちで、コンクリート道が破壊されても
住民は声を張り上げ続けた。
年代を越えて住民が一致団結し、徹底的に反対運動をくり返した。

その様子がテレビで取り上げられるようになると
スペイン全土から「応援デモ」をする人々が、集まってきた。
「これはガモナルだけの問題でなく、スペインの問題!」

そしてついに、「ガモナル遊歩道・美化計画・反対デモ」が
なんとスペイン全土30以上の町や市で、一斉に行われたのである!
これは、画期的な出来事といえる。
これまで、その土地の人だけで闘っていた運動が、全国に広がる。
この一件は、スペイン国民に、勇気を与えることとなった。

そして、事態を重く見たガモナル行政側はついに
一時的に工事の計画を「中止する」と、発表したのである。

最近のスペインに、つくづく感じるのは
「個別の問題を、国の社会問題として受け止める」
人々の姿勢、新しいメンタリティである。
その底にあるのは
「わたしたちはみんな、自分の家族が教育、治療を受けられること
屋根があること、食事があることを望む」
という、共通した願い、思いである。

そんな中、スペインのロイヤルファミリーの
「金の不正」が、またしてもすっぱ抜かれた。
今度は、カルロス王の娘、インファンタ・クリスティーナの不祥事である。
「ロイヤルファミリーには、法律さえも手は出せない」
と言われているが、どうなるものか。
スペイン国民の闘いは、まだ始まったばかりである。

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