1月18日に書いた「張り紙コマンド部隊」の、続編である。
スペインの不況から生じた全国民による「職探し」。
わたしたち音楽屋もまたしかり、で時間があれば
「ピアノ&バイオリン教室の広告」を貼って回ることにしている。
人呼んで「張り紙コマンド部隊」。ま、自称だけど。
スペインではこうした「張り紙広告」は、非常に盛んである。
そして、下町に行けば行くほど「情報収集方法」として大切にされている。
われらがエル・パロ地区も、またしかり。
パン屋、八百屋、コピー屋などは、この張り紙広告の山である。
「マンションをシェアしませんか」
「駐車場貸します」
「子犬売ります」
「ネイティブによる英語のレッスン」
「水道管すぐ直します、特価」
「家庭教師、経験豊富」・・・など
見ているだけで、なかなか楽しい。
それも、手書きのもの、イラスト入り、ノートに書いて破って貼ったものなど
広告形態にバリエーションもあり、
その人の性格がうかがいしれるような、名コピーも多い。
さて、今日も「張り紙コマンド部隊」の隊長・べラが帰ってくるなり
「新しい問題が、出てきました」
と、静かに言った。
「どうしたの?」
「お店によっては、広告を窓ガラスの内側に貼って
通行者に見えるように、と言われました」
「なるほどー。じゃ、テープの貼り方を反対にしないといけないねぇ」
「製作部門、よろしくお願いします」
その日から、べラは2種類の広告を持って出かけるようになった。
すると、今度は
「新たな問題が、発生しました」
「どーしたの?今度は」
「お店によっては貼ってはだめ、でも置いておくならいい、と言われました」
「ははぁーっ」
「制作部門、お願いします」
そこで、「置き型広告」である。
A4の紙から、広告8枚が取れるようにデザイン。
これなら1枚のコピーで、8枚の広告が出来上がる。
情報量は減るが、興味があればホームページを見てくれるだろう。
「どう?作ってみたけど」
「わぁー、かわいい。なんだかあげるのがもったいないなー」
それじゃ、広告にならんだろう。
「じゃ、行ってきますっ!」
3種類の広告を自転車の後ろにくっつけ
うれしそうに出かけて行くべラのうしろ姿を見ながら
小さい頃、自転車でやってきた「豆腐屋さん」の姿を
思い出した。