【一日一作プロジェクト】「絶望を炎にかえて」を作った。「手続き問題・19」。9月中旬。今の私たちにできることは、
「2国間協議で衛生証明書の書式が決定するまで待つ」
それだけだった。とはいえ、その間にスペインが鳥インフルエンザの発生地になってしまうと、日本の国境が閉まってしまう。スペインの扉が開いているうちに書類をゲットし、飛行機に乗らなければ!私たちが闘っているのは、
「時間」
なのだ。こうしている間にも、厚生労働省関連機関から、新しく鳥インフルエンザ発生地区となった国・地域の連絡が入る(毎週、毎月、この指定国リストは更新される)。
「○○からの輸出はできません」「△△も鳥インフルエンザの発生地区になりました」
検疫所からメールが届くたび、そこに「スペイン」の文字があるのでは。と、毎回息が止まりそうになる。「2国間協議」と聞いた瞬間、日本大使館の女性職員の方が明らかに落胆された。今ならわかる。
「数ヶ月から半年。運が悪ければ1年」
決定にかかると、知っていたからだ。たかが書式。されど書式。しかし、この書類がなければ手続きは進まない。2週間後には、ハビ吉のマンション退去が迫っている。
「私たちはどこに行くのか」
私もココも、行き先が決まっていない。「待つ」といっても、自宅に住み、日常生活を送りながら待っているのとはわけが違う。流浪の民で、友人宅を点々としながら、最低限の持ち物で。そのたび引越し&リセットしながら。正直不便だし、何より、
「心身の消耗、命を削る感」
がハンパない。それでも、ココの書類をゲットするためなら、どんな環境でもかまわなかった。トライできる限り。なのに、とうとう
「挑戦することさえできなくなってしまった」
待つこと以外。私は、大きな決断の前にいた。ココと一緒に住む場所が見つからない以上、残された選択肢はひとつだけ。
「預ける」
誰に?どこに?ココが安心できて、十分に世話してもらえる場所。鳥が好きで、ココの心身を心から大切に思ってくれる人。そんな場所、人はいるのか。
その大きな方向転換は、私の希望を完全に打ち砕いた。が、崩れ落ちるわけにはいかなかった。解決すべき問題が、山のように立ちはだかっている。
「自分のこれから。ココのこれから」
第一章は私の負け。しかし。第二章を攻め込んでいくためには、その準備を整えることが必要だ。これは休戦。私は執念で立っていた。怒りで。絶望で。
「絶望を炎にかえて」
どんな痛みも悲しみも、私を倒すことはできない。母とは、ゆらぎのないことだ。ココを守るためなら私はなんだってする。どこにだって行く。どんなリスクもいとわない。
「これは準備だ、次の戦に備えて」
私の心に、新しい希望の光が生まれる。ぽつりと。絶望を白い炎にかえて。何度でも立ち上がる。それが、今の私に課せられた100本ノック。
「夏の陣は失った。が、冬の陣は、一気に畳みかけるのだ!」
かつてない覚悟と気迫が、私の中にみなぎってくる。私が「武将」となった瞬間だった。(明日に続く)



