【一日一作プロジェクト】アルファベットシリーズ「L（えれ）」を作った。ジェイダ駅を出発し、一路ピレネー山脈をめざす。真っ暗な山道をよろよろと進んで行くと

「ぎゃ〜！何かいる」「えっ？ええっ？馬⁉︎」

真っ暗な山道に馬が10頭あまり（写真）のんびりとお散歩中。ええっ、こんな夜に？散歩するの？

「車には1台も遭わないのに、まさか馬に遭遇するとは」

さすが山岳ホテル。この後、15分で私たちの宿泊先「ビエルサのパラドール（国営ホテル）」に無事到着。話では

「周りを2000m級の山々に囲まれた絶景ホテル」

なのだが、もちろん辺りは真っ暗で何も見えない。車から出た途端、ひやっ。空気の冷たさに身が引き締まる。ここにヤシの木はなさそう。

「外気1度とか、かなぁ」

南国マラガに住んでいるので、正直1度がどんな寒さなのかよくわからない。

「まずは部屋へ行こう」「運転おつかれさーん！ありがとう〜」

さすがにホテルの中は暖かい。部屋もぽかぽか。木目の山岳ロッジ風。

「パブリックスペースに暖炉あるんじゃないかな」「行ってみよう〜」

あった、あった。ありました（写真）。直火って、こんなに暖かいんだなぁ。いいなぁ。暖炉ほしいなぁ（笑）。こんな石作りの壁と床をも温めてしまう火のパワー。

「お客さん、少ないね」「こんな山奥。来るのめちゃ大変じゃん」

仲間同士でトランプゲームをしたり、カップルでワイングラスをかかげたり。穏やかな山の夜。耳の奥をくすぐる

「パチパチ、パチパチ」

という木の燃える音が心地いい。ホテルの周りには店も家も何もなく、1番近い村まで

「山道を車で30分」

そう、さっき馬がぞろぞろいたあの真っ暗な山道が、ホテルへ続く唯一の道。

「連続殺人事件とか書きたくなるな〜。陸の孤島。犯人はホテル内にいる誰か」「えっ、もっとロマンチックなこと思い浮かばないの？」

感性がまるで違う私たち（汗）。部屋に戻ると、ハビ吉がものすごい食料をテーブルの上に広げていた。

「な、なに？これ」「今朝、A市で買っておいたんだよ。さあ、夕食にしよう」

そうか。周りに食べに行く所なんてないもんね。お店もひとつもないし。

「私は、何も持って来なかった」「うん、だと思った」

ありがとう、ハビ吉よ。夕食をすませ、さっそくベッドへもぐりこむ。疲れ切って11時過ぎには寝てしまった。が、ハビ吉は1時過ぎまでパソコンで仕事をしていた。らしい。

翌日、8時に目が覚めると、すばらしい青空が広がっていた。思わず窓辺に駆け寄り、寒いとは知りつつ窓を開け放つ。

「うわぁあ〜、周りみんな山だよーーー！」

うっすらと雪化粧。よく南の果てのマラガから、よくこんな北スペインの山の奥まで来たもんだ。別世界。フロントでもらった地図を見て、さらに仰天。

「うそ。ここからフランス国境まで3キロしかないの？」

見れば、周りの山々は2797m、2771m、2754m、2355m・・・このパラドールは、2000m級の山々にぐるりと囲まれていたのだ。

「今日はアニスクロ渓谷に向かって出発」「オーレ！」

1時間半に渡る渓谷ドライブ、どんな景色が私達を待っているんだろう。崖っぷちの道が続くから安全運転で。にしても、時々スマホの電波が届かない所があるんだよね。大丈夫かなぁ。（明日に続く）