アルデイレ&光

【一日一作プロジェクト】カリグラフィアート組画シリーズ「光」を作った。テレサ叔母さん、そしてハビ吉のお母さんが生まれ育った村アルデイレ。

「さあ、着いたよ!」

うそ。フロントガラスに落ちてくる、このふわふわしたものは・・・

「やったー。雪だ!おぉお〜」

歓喜するハビ吉。の横で、毛糸の帽子とマフラーを黙々と装着する私。マラガ市内は真冬でも雪は降らない。1年の1番寒い日で3度〜9度。1月、2月でも太陽さんさんなのだ。

「寒っ」

ぶ厚い雪雲に覆われ、昼間なのに薄暗い。全てが灰色。通りには誰もいない。みんな家の中なのだ。村そのものがしーんとしている。

「夜はマイナス3〜6度になるんだよ」

ひえーっ。マラガっ子には極寒の地。テレサ叔母さんは足が悪いので、私の腕につかまって歩く。コロナになって、こんな当たり前の動作さえ「特別なこと」になった。

「ここが、私達の住んでいた家だよ!」

パッと顔が輝く。リフォームはされているが、テレサ叔母さんの目には、当時の様子がはっきりと見えているのだろう。

「暖炉が3つあってね」

ハビ吉も、お母さんが昔住んでいた家なので「うんうん」と懐かしそう。さらに「友人Aに会いたい!」と、テレサ叔母さんはよく知る小道、裏通りをどんどん進んで行く。

「この辺だけど。ちょっと聞いてみよう」

ちょうど玄関から顔を出したおじいさんに尋ねると、なんと。奥から奥様が顔を出し

「テレサじゃない!久しぶり〜。入って行って」

別の友人宅だった(笑)。お菓子などいただきながらしばしおしゃべり。結局、そのお友達が友人A宅へ道案内してくれることに(写真)。

「おぉお、テレサ〜!元気だったかい」

Aさんは、家族一同で私たちを迎えてくれた。ここでもお菓子がふるまわれ、しばしおしゃべり。笑顔のテレサ叔母さんを見ていると、こちらまでうれしくなる。

マラガへの移動は許可されなかったけど、ふるさとの村を訪れることができて、テレサ叔母さん、よかったね!

改めてカフェテリアへ。あったか〜。見れば暖炉に火が。ペチカや〜。熱い紅茶がたまらない。外に出たら若者達がテラス席でお茶していた。なんなん。ペンギンかい。

「展望台へ行こう!」

ハビ吉の華麗なる運転で、村の近くにある展望台へ。シエラ・ネバダ山脈のふもとに、ひっつくようにたたずむアルデイレ。もうこの先に村はない。ひたすら山々が続くのみ。

「カラオーラの古城跡だよ」

グアディクスへの帰り道、丘の上に建つ古城が見えた。平地に突然現れる古城のシルエットが美しい。テレサ叔母さんが、花のような声でつぶやく。

「あぁあ、なんて楽しいんだろう!最高の日。2人ともありがとう」

そして。私の手にそっとブレスレットを握らせた。十字架と鳥のパーツのついた赤と青の。今期、私が好んでペイントしている配色。お礼を伝え、すぐに身につけた。

「アスタ・プロント!(また近いうちに会おうね)」

次に会えるのはいつだろう。修道院(尼僧センター)の玄関で、車が見えなくなるまでずっと手を振るテレサ叔母さんの姿に、胸がきゅっとなった。

「自分自身を見つめる、内なる声に耳を澄ませる」「思いをはせる、心を寄せる」「祈る」

そんなことの多い2020年だった。テレサ叔母さんは、まさにそんな静寂と瞑想に満ちた生活を、もう半世紀以上も送っている。心にけして消えない「光」を抱いて。

テレサ叔母さん、どこへ行くにも私の腕につかまって、1日中一緒に歩いてくれてありがとう!そのおかげで

「腕の温かさ」

を思い出しました。大寒波の前に、会いに行けて本当によかった。今なら雪で、このルートは通行止めだったはず。3人の祈りが通じたのかな。

寒い日が続くので、テレサ叔母さん、体を大切にしてください。マラガで会えるその日を、楽しみにしています。

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