7.エレス・ミ・テソーロ!

CIMG5901 フェオーナが「囚われのバイオリンの迷宮」に向かって走り出したとき
森の中の一軒家では、大男が大鍋で、スープを作っていました。
「玉ねぎ、にんじん、にんにく・・・それから、と」
右手に斧を握りしめると、鳥かごに入った一羽の鳥をじっくりと眺めました。
「こんな鳥は珍しいぞ。鼻が大きくて、ふんふん、おいしそうだ!」
フェオーナの大切な鳥は、今まさに、スープにされそうになっていました。
迷子になって、森を飛んでいるところを、大男に捕えられてしまったのです。

鳥は、きっとフェオーナが来てくれるにちがいない、と思いました。
今までだって、いつでもどこでも、フェオーナは探し出してくれたからです。
「あの歌が聞きたいな」
と、鳥は思いました。あの歌を聴くと、元気になれるからです。
ときどき、眠くもなります。
「あの歌が、大好きだったんだ!」
そのことに、急に鳥は気づきました。
そしたら、なんとしてもここから出なくちゃ、と思えてきました。
「エレス・ミ・テソーロ!(あなたは、わたしの大切な宝もの)」
フェオーナに向かって叫びましたが
「ググッ、ゲゲゲ~」
という奇妙な音にしかなりませんでした。
「なんてひどい声なんだ!でも、おいしそうだ」

そのころ、フェオーナは「囚われのバイオリンの迷宮」に、やっとたどりついたところでした。
とても疲れていたけれど、休んでいるひまはありません。
「早く、レオン・アルコイリス(虹色羽ライオン)を見つけ出さなきゃ!」

果たして、フェオーナは間に合うのでしょうか。
ふたりはふたたび、いっしょになることができるのでしょうか。
そして、レオン・アルコイリスは、いったいどこに。

運命の女神は、お昼ね中。
フェオーナは自分を信じて、迷宮に向かって歩き出しました。

(「ベラの絵本・8」につづく)

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