自然遊歩道・3

【一日一作プロジェクト】「紙袋」で楽描き&コラージュアート進化中。自然遊歩道「カミニート・デル・レイ」。その休憩スポット「山の清水が流れ込む木陰」で、私は息を飲んだ。

「あれ・・・あそこ、見て!」

ハビ吉のひじをつかんで、立ち尽くす。雑木林の中から、ふらりと現れた生き物。黒い目が、こちらをじっと見つめている。

穏やかな表情、優雅なふるまい。ふいにそこだけ「神秘」というエネルギーベールで、守られているような気がした。

「この山の精霊が、私たちの前に姿を現してくれた」

静かな感動が、ひたひたと胸に押し寄せる。かけがえのない瞬間に、立ち合わせてもらえた。これは、贈り物だ。

「山ヤギ・・・」

いつもは大騒ぎするハビ吉まで、ささやき声。レスペクトは、自然発生的なものなのだ。私たちの心に生まれる

「大切にしたい」

という思い。「この場所が、沢山の命が、いつまでも大切に守られますように」。そんな思いがふいに押し寄せ、泣きたくなった。

「この地の番人は、谷を渡る風」

強風や突風を起こして、この谷を守る。人間が容易に近づけないように。その「守りの手」が、どんどん強くなってきた。いよいよ最後の難関

「絶壁に取り付けられた、まつ毛のような通路」

へと差しかかる。ものすごい高さ。谷底と手すりがダブって、遠近感を失う。さらに。ここに来て「突風」。

「こ、こ、こわいよ〜〜〜」「手すりにつかまれ!」

ハビ吉の指示が飛ぶ。ヘルメットが風でずれ、メガネはずり落ち、マスクも飛んで行きそうな勢い。とても写真どころじゃない。

スマホをしまい、山肌にへばりついて進む。私的には、この強風ポイントが、一番怖かった。ハビ吉と一緒で本当によかった。やっと突風から抜け出し

「床がガラス張りの展望コーナー」

へ(写真)ここだってめちゃ怖い。もう、へっぴり腰。とはいえ、ここまで来ればゴールは近い。後は、この遊歩道のクライマックス

「谷間にかかる吊り橋」

へ挑むのみ。人数制限があるので、2人、3人ずつ渡って行く。さらにみなさん写真を撮るので、ここに来てかなりの行列。その時、ハビ吉が声を上げた。

「ベンチもあるし、ここで休憩してサンドイッチ食べよう!」

その言葉に、はっと思い出す。「乾いたサンドはダメ。ジューシーなものを」。あのトラウマ的サンドイッチ作りの結果は。はたして。

(明日に続く)

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