応募作品の引取り事件

今日は本当にひどい目にあった。というか、さすがマラガ。ってだけなんだけど。お昼の2時までに

「マラガ市役所へ、応募した作品を取りに行く」

ただそれだけの事が、結果として、ものすごい「旅」になった。まず「フェリア課」というのがマラガの郊外にあり、うちからバスを乗り継いで2時間弱かかる。

応募した時に一度行ったきりだが、とにかく作品が大きく1メートルあるので、厚紙、カートン紙、ヒモで完全梱包して、持ち手までつけてお届けした。

「快適に持ち帰れるよう、ヒモ、テープ、持ち手、ハサミを持参しよう」

準備は完璧。のはずだった。まずはセントロまでバスで。さらに「フェリア課」行きのバスを乗り換える。

「確かこの辺だったよなぁ」

なんとなく景色に見覚えがある。が、念のため運転手さんに確認してみると

「それは二つ前で降りないと!もう通り越しちゃったよ」「ええっ」

こう言っちゃなんだが、私は地図や方向にめちゃ強い。まだ2、3先の停留所のはず。

「本当かなぁ。目にするべき景色を見てないけど」

言われる通りにバスを降り、来た道を引き返す。が、どうしても納得いかず、自分の勘に従い、再びバスの進行方向に歩き出す。

そして。25分後、ついに「見るべき景色」に遭遇。来たのは一回だけでも、私の目はちゃんと覚えていた。

「やれやれ。時間ギリギリ」

汗だくでフェリア課へ。引換券を渡して、作品の返却を待つ。その時だった。

「はい。これですね。どうぞ」「・・・・・」

作品が「一糸まとわぬ姿」で手渡された。うそ。あれだけ厚紙やカートンで梱包したのに、ボロ紙さえ巻かれてないの?

「このまま持って帰るんですか?」「手で持っていけば大丈夫!」

一応作品なのだから、汚したくない。これからバスを乗り継いで2時間弱の道のり。手垢やホコリだってつくだろう。

せめて応募した時の紙が、ボロボロでも巻かれていると想定して、ひもハサミ、テープ、持ち手を持参したのだ。

「わかりました。なんとか持って帰ります」

両手で抱え、とぼとぼとバス停へ向かって歩き出す。バスが来るまで20分。仕方ないので、作品を地面に直接置く。

「あぁあ、雨でなくてよかった」

雨だったら、とても持ち帰れないところだった。傘の下には大きすぎて収まらない。地面にだって置けない。太陽いっぱいのマラガで本当によかった。

そして。乗り継ぎのバスも15分待ち。地面に作品をじか置きして、風に持っていかれないように力を込める。

あまりのサプライズ続きに、家に着いたらどっと疲れが出て、へとへとと座り込んでしまった。

「応募作品を引き取る」

ただそれだけのことが、5時間に渡る壮大な旅に。坐骨神経痛の事など完全に忘れた。さすがマラガ。20年以上暮らしていても

「平手打ち的サプライズ」

が、2ヶ月に一度くらい、ある。

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