28.後藤KKとクロさん(1)

大須観光のあとは、「栄で夕食」というのが、本日のプラン。
お店は決まっていないが、お相手は決まっていた。
後藤KKとクロさんである。
「KK」と書いて、「係長」と読む。

係長であったのは、実は20年以上前のことで、現在は「取締役」になっておられる。
20年前、わたしが名古屋の広告代理店でお世話になっていたときの
直属の上司であり、その当時が「係長」であっただけなのに
20年たった今も「係長」と呼ばれてしまう。
この理不尽な仕打ちにも、笑顔で耐えられるのが、
後藤係長なのだ。

実は大野さんにあらかじめ
「係長、って呼んだらだめですかね?」
と、ご意見伺いをたてていた。
「後藤さん、って呼ぶんだろうね、やっぱり」
と、レクチャーを受けていたのにもかかわらず、
「ああ~っ、元気?」
と、20年前とまったく変わらぬその立ち姿、こちらへ歩いて来る姿を見た瞬間、
口をついて出たのは
「ああ~っ、後藤係長!」
であった。

こうした無礼が許されるのも(本人の確認なし)、
奥様である「クロさん」が、いっしょに笑って流してくださるから。
ほんとうにありがたいことである。

「居酒屋に行って、名古屋名物を食べる!」のが、今夜の目的。
「もう疲れて一歩も歩けない」べラのために
二人はすごい勢いで走り去り、「居酒屋」を見つけ出してくれた。
その小走りする後藤係長の後ろ姿が、
信じられないほど変わっておらず、思わず涙が出そうになった。
「ええ~っ、企画書まだなの!手伝うわー」
と言いながら、いっしょに走ってくれた、あの日とおんなじ・・・

なんてたくさんの人に、わたしはお世話になってきただろう、と思う。
なんてたくさんのことを、許されてきたのだろう、と今になってわかる。
若いとき、20代のときには見えなかったたくさんのことに
日本に来てから、気づいた。

居酒屋に着くと、さっそく「手羽先」「味噌カツ」を注文。
他にも、ベラが食べるのは初めて!という居酒屋メニューをたっぷりと堪能。
向かいのテーブルで肩を寄せる後藤KKとクロさんは、
まるで二羽の小鳥のように仲がよかった。
お酒が回ると、後藤KKは
「ああ~、すごいいい気持ちになってきたー♪」
と、ため息まじりにつぶやき、突然、名言をのたまった。
クロさんに出会うのが、婚期を過ぎかけていたという後藤係長は
「40になっても幸せになれる!って証明、希望を与えるよね~♪」

その言葉をわたしは心に刻んだ。
「デスグラシア(不運)も語れば、エスペランサ(希望)になる!」
ベラとちょっと芸風が似ているな、と思いながら、ビールを追加注文した。

(「ニッポン驚嘆記・29」につづく)

 

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「28.後藤KKとクロさん(1)」への3件のフィードバック

  1. 芸風ですか。芸風なのか。うけた。

    (1)ってことは(2)があるってことかなー。楽しみにしてまーす。

  2. つづきの(2)は、実はクロ隊長がメインです!
    ベラがどうしても伝えたいことがあるそうです、お楽しみに~♪

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