長縄さんのアトリエ訪問

名古屋出身、マラガのアロラに在住37年のアーティストShinji Naganawaさん。そのアトリエにさっそく行って来ました!というか、無理やり押しかけた。というのが正しいですね。本当にすみません。

まずは、マラガ駅から電車で約四十分。車窓に映る田舎の景色がゆったりのんびりいい感じ~(写真二、三枚目)。

アロラは小高い岩山の上に築かれた白い村(四枚目)。とても風情があるのですが、問題はこの一本道をずーっと登っていかねばならない。健脚でないと住めません。

お忙しいところ、長縄さんはわざわざ駅まで降りて下さり、私を待っていてくださったのでした。あぁあ。勝手に押しかけておいて、重ね重ね申し訳ありません。

まずは、アトリエを訪問(一枚目)。生きている空間。身を置くだけで、生命が宿っているのを感じる。現在制作中の作品を見せてもらえるだけでなく、説明までしていただけるなんて(涙)なんて贅沢なひと時。

「まだこれから作風は、どんどん変わっていく。探し続け、挑み続ける。これじゃない、もっとちがう、もっとできる。どうしたらいいのか。その探求こそが、新しいスタイルで描くことにつながっていく」

「文化を継承したい、と思っている。芸術の歴史、これまで作られた道を大切にしながら、新しいものにチャレンジする。そこに発展がある」

「〇〇歳の時に、もう食べていくために仕事をするのはやめよう、と決めた。それはとても大きな決断だった。もちろんお金はいる。生活していくためにね」

「食べるために仕事をしている限り、余った時間に描くことになる。そうしていつのまにか、アートへの情熱を失なってしまう仲間を沢山見た。だから、決めた。絵を売って生きるしかない、という状況に身を置こうと」

長縄さんは、私のつたない質問、あるいは個人的な質問にも、まったくリズムを変えることなく、一生懸命に答えてくださった。自然体の、飾らない言葉。視線、姿勢。

それは、自分をよく見せようとする、あるいは傷つくのを恐れて武装している人には、とてもできない心の在り方だ。

「社会はピラミッドのようなもの。それを支えている一つ一つの石、それが僕たちだ。外の目立つところにいる人もいれば、誰にも見られない場所で、しかし実質ピラミッドを支えている人もいる。あるいはピラミッドの横で転がって、まるで役に立っていないようなのも。でも、そのどれもが必要で、不思議なバランスを保って、一つの社会を造り上げている」

「一番強いのは、プーロ(純粋)なもの。説明をすると、力は弱まっていく」

長縄さんの飾らない言葉は、まっすぐ心に届く。ここには書ききれないくらい、沢山のお話をしていただきました。なにしろ二、三時間のつもりが、気づいたら夜の九時近くまで。って、八時間も長居。本当にすみません。

美しい奥様のエンカルナが、手料理をふるまってくださいました。蒸しムール貝、カリジャーダ(ほお肉の煮込み)、サラダなどすばらしいごちそうがテーブルに並ぶ~(五、六枚目)。赤ワインで乾杯!

お茶&デザートはパティオで(七枚目)。光がさんさんと降り注ぐ中、おしゃべりは続く(笑)。すっかり打ち解けた雰囲気になり、初めての訪問ではありましたが
「あ、お皿洗います。長縄さん、よかったら休んでてください」
って、勝手に台所を使う(笑)。何者なんだ。

明るく鮮やかな色なのに、深みがある長縄さんの絵。
「続ける」
からたどり着ける世界がある。なんだか、すっかりやる気になってしまった。音楽も絵もレッスンも。何でも来い!

「はい、どうぞ。僕の作品集です。あげます」
「ええぇっ、ほ、ほ、ほんとですか!」
なんと四冊もいただいてしまいました(九枚目)。うれしい。

「あの・・・サインしてもらってもいいですか」
「いいですよ」
「ブログに載せてもいいですか」
「いいですよ」
なんでも快諾。本当にありがとうございます。

「十二月に銀座で展示会があります。その出品のためにまだ数点、描かないとね」
そんなお忙しい中、再び駅まで坂道を降りて送ってくださった長縄さん。展示会のご成功をお祈りしています。

「これからまた、あの一本道の坂道を登って帰るんだなぁ」
と思ったら、涙が出そうになってしまった。そしてまた、長縄さんとエンカルナの住む家を訪れたいな、と思った。

Encarna,muchas gracias por compartir tu tiempo conmigo.
Ha sido domingo estupendo con risa y arte y tu comida estupenda.
Nos vemos pronto,besos

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