心がふるえるピアノを編曲中

今年に入り、ようやく「ピアノに向かう生活」が、戻ってきた。べラを失って一年の間、私の音楽に対する情熱は、完全に消えていた。音楽は、私に悲しみや苦しみだけをもたらした。

一年の間、私の心は凍っていたのだと思う。春が来て、氷が解けて、ようやくその下から、芽を出したのは「一人で弾くピアノ」だった。くすぶり続けていた情熱が、やっと今、双葉くらいになろうとしている。

ピアノに向かいながら
「弾き方やアレンジが、ずいぶん変わったな」
と思う。しかし何より、私の気持ち、メンタリティが変わった。

これまで仕事として、プロとして弾いていた時は、まず責任がある。ある意味「応えなければならない」。仕事を持ってきてくださる方々、そして聴きに来て下さるみなさんに。

結果が要求されるのが、ある意味プロ。なので、私は二十年たって初めて「結果を出さなくてもいい」環境に置かれたのだと思う。それは、私にとって初めて体験するものだった。

そうして今年に入って、自分の弾きたいように、弾きたい曲を弾いているうちに、はっきりとわかった。自分がこれまでしたくてなかなかできなかったこと。
「心がふるえるピアノを弾こう!」

この単純明快な、当たり前な願い。思い。これが「職業ピアニスト」をしていると、なかなか難しい。たとえば結婚式では、指定された曲を指定された瞬間に、指定された長さで、新郎新婦&神父との打合せ通りに弾かなくてはならない。

レストランではロマンチックに。ピアノバーではおしゃれに。夏のプールサイドのとラウンジではボサノバやチルアウト。クリスマスはクリスマスソング。アジア系レストランならアジア系の曲・・・と、いつでもどこでも「注文&指定」がかかる。

さらにお客さんからのリクエストに応えるため
「メロディとコードだけの書かれた世界の名曲300選」
をいつでも持参し、練習なしでいきなり本番で弾く。ことを繰り返してきた。こういう時、バイオリンはメロディなので、その場で「イントロ、間奏、終わり」などを即興するのはピアニストの仕事(汗)。

そんな十八年に渡る音楽屋生活から、ポイッと投げ出されて
「心がふるえるピアノ」を、楽しみながら編曲中。仕事の合間にチョコチョコ。なのでなかなか進みませんが、

ジャズバラードの名曲「You don’t know what love is」、ルパン三世の「愛のテーマ」および「テーマ曲」、自作曲、さらに敬愛するピアニスト・パポ・ルッカのスタイル(風味)のラテン音楽など。一人家で、友人宅で音楽を楽しんでいます。

友人宅で、ワイン片手にピアノを弾く。そんな日が来るなんて、思ってもいなかった。先のことは、わからない。だから、希望が持てる。だから、信じることができる。明日を。自分を。

先のわからない人生に、乾杯!

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「心がふるえるピアノを編曲中」への4件のフィードバック

  1. ベラさんも今頃、心がふるえるヴァイオリンを弾いているんじゃないでしょうか・・

    しかしmomoさん凄い!芸人!(職人?)
    万人のリクエストに即座に応えていたなんて、とにかく凄いです。

    人には誰にでも自分を表現する手段があるのでしょうか?
    そうだとしたら、私のは何だろう・・
    歌うことも踊ることも描くことも、楽器に触ることも大好きなんですがどうもパッション(体力?)に欠けます~

    今日は寒い雨の一日。
    Youtubeでセビジャーナスでも練習・・という気分では・・・
    お茶飲みながらパソコンに向かって静かに、という感じ。
    でも午後からボランティアなんだなぁ、腰を上げないと~

    編曲完成したらアップしていただけるのでしょうか、聞きたいです!

  2. ももさん、人生のそれぞれの場面で
    音楽が大切な役割をしてきたんですね。
    今、自由に楽しく感じながら
    どっぷりハマってください!!
    音楽も絵の世界も、自分を
    表現できるももさん!!
    サイコー。

  3. Mayさんと同じく、私もここ数年体力が落ちて来たので、
    ときどき立ち上がれないことがあります(笑)文字通り。

    ボランティアをされてるんですね。
    雨で寒い日のようなので、どうぞ温かくして
    「いってらっしゃーい!」

  4. きむらさんこそ!多才でいつもすごいと思っています。
    いろいろなイベントに登場されては、何にでも挑戦!
    年を重ねるとなかなかできませんよ。うらやましいー。

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