マラガの文房具屋事情

ニッポンとちがい、マラガは文房具屋が非常に少ない。マラガのセントロ(中心街)でさえ、文房具屋は二軒。 二軒ですよ!たったの。国際都市として空港も備えながら、紙もノートもペンも筆も絵の具も、この二軒のどちらかから選ぶしかない。この選択肢およびバリエーションのなさ。

もうちょっと足をのばせば美大の近くにもう一軒あるものの、大きいキャンバスやA2の上質ケント紙100枚などを抱えて、バス停まで三十分もかけて歩くのは実質上、不可能。で、結局、すべての画材を、この二軒「GOVEZ 」と「IBERIA ART」で調達している。

この文房具屋だって、特に大きいわけでなく、品ぞろえは限られている。はっきり言って、私の実家のある豊橋の「精文館」に比べたら、100対15くらい。マーカーも絵の具もキャンバスも筆も「選ぶ」というより、「あるかどうか」がまず重要。いつも、足りない色やサイズで、棚には空きスペースが・・・

そんなマラガの悲しい文房具屋事情なのだが、ひとついいことがある。それはお店のお姉さんたちが、そろいもそろって「威勢がいい」のだ。お支払いのたびに、胸がしめつけられるような切なさを味わうが、私のため息は、お姉さんの笑顔と大声に、一瞬にしてかき消される。
「大丈夫!一枚売れば、全部返ってくるから。いい、描くのよ!」

そう言われて店を出る私は、いつも「IKEA」の青い大袋を、亀のように背負っている。あまりの重さで体は前のめりになり、ショーウインドウに飾られた服や靴を眺めることもなく、よろよろとバス停へと向かう。

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