ラジオでユーロ杯

「ユーロ杯」を見ようとテレビをつけた瞬間、画面が真っ暗になった。
「いったいこれは・・・」
試合はあと30分で始まるというのに。
あわててベラが友人知人に電話をするがこんなときに、駆けつけてくれる人がいるわけがない。
「ううう~っ」
必死にリモコンを押しまくるベラ。
でも『順序』が正しくなければ、いくら押してもだめだよねぇ。
心の中でつぶやきながら、わたしは『説明書』を読み始めた。
が、それを試している最中に、試合が始まってしまったので、テレビを直すことはとりあえずあきらめ、
「ラジオを聞こう!」と、いうことになった。

二人して、ラジオに向かって耳を傾ける。なんとか聞き取ろうと必死。
これまでサッカーは「見る」ものだったので、耳だけが頼りとなると
誰が、なにをしたのか、今、どんなことが起こっているのか、
まるで五里霧中(使い方、あってる?)なのだ。
それも「今、なに?イエローカード?」
などと聞こうものなら
「しぃーっ!」
と、すごい勢いで黙らされる。
「ももがしゃべったから、試合、聞こえなかったよー」
そうか・・・はじめて気がついたが、ラジオの場合、会話はできないのだ。
わたしたちは、し~んとした部屋の中で、黙々と、試合を聞き続けた。
45分間の沈黙。休憩に入ったとたん、
「はあぁ~!」
って、なんか、疲れちゃったよ~。後半が始まるや
「うるさいっ」
って、オウムまで黙らされ、それはまるで「戦時中の日本」の風景であった。

 

 

 

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